カルレットさんの必死の説得。
わかってる、危険なんだもんね。
それに魔力量が減るかもしれない。
でも、半年も待っていられない!
「選定をお願いします! エアリさん」
「…………わかりました」
「エアリさん!」
「イリヤさんご自身が身を護るために、魔力選定で強制的に魔力を安定させるのは悪い案ではありません。魔力量も訓練で増やすことはできます。やるだけやってみましょう。タタング様のご意向も、あるようですし」
「で、ですが……」
「お願いします、エアリさん! 早く騎士の人たちを助けに行かないと! 私がここに来た意味がありません!」
こくりとエアリさんが頷く。
そして宙に魔法陣を書き始めた。
グレンの話だと紙に描かれた魔法陣に手を翳したら、ステータスを見られるようになったらしい。
魔法陣が完成すると、エアリさんが私に向かってまた頷く。
私も手を伸ばし、魔方陣に触れた。
そこに迷うことはない。
触れた瞬間魔法陣が大きく揺れ、光る。
「揺れましたわよ!? エアリさん、魔方陣が揺れましたわよ!? 大丈夫なんですか!?」
「魔力属性と魔力量の測定によるものです。これは……!!」
魔法陣の色が虹色に光り輝き、私のステータスが表示される。
あ、あれ?
イリヤ・オルヴァーニュ 9歳
HP11000 MP500
物理攻撃 5
物理防御 4
魔法攻撃 12
魔法防御 10
魔力属性 光闇土風水火
装備:魔道具ヘルスチャージ〔貯蓄HP2584〕
加護一覧
【生命の盾】自らのHPを盾の魔法に変換して顕現する。敵の魔力を吸収して盾の硬度にさせたり、跳ね返したりできる。
【楽学】たくさん楽しく学べるように、勉学の“苦”を感じる心を緩和する加護。
【楽食】四季折々の食べ物を美味しく感じる加護。
【生命力の豊穣】ヘルスポイントを10000にした加護。
「へ……HP増えてるーーーー!」
「え? え? 増えていますの!? 魔力は大丈夫でしたか!?」
「な……なんなのですか、このHPと魔力量……!? こんなの見たことがありません……!」
思わず凝視。
私、あの、ええと……。
「エアリさんも私のステータスが見えるんですか?」
「い、一応、見えます。こ、これは……『星の精霊』様の加護が、四つ……!? それに、HPが11000で、魔力が500、魔力属性も六属性……いったいなにをどうしたらこんなことになるんですか!?」
「魔力が500!?」
カルレットさんにもびっくりされた。
ああ、そういえばグレンも貴族成人魔力平均20~40って言ってたなぁ。
魔法師の中でも多くて50~70。
おお……………………500……?
は? なにそれ……?
誕生日前の魔力選定って魔力が減ることはあっても500はおかしいだろ!? って、ことだよね?
なんで魔力までこんなに多いんですかねぇ!?
『それは、まあ、ジュジュが加護を与えているのだから、魔力は増えるだろう』
「ジュジュ様の加護の影響……!? たくさん楽しく学べるように、勉学の“苦”を感じる心を緩和する加護、じゃないんですか!?」
『[学門]の加護は魔力に影響する。そなたがジュジュの加護で勉学を努力してきたのであれば魔力量が増えるのは当然だろう』
それにしたって多くなりすぎではありませんかね!?
「[学問]の精霊ジュジュ様……!? い、いったいイリヤ様はなぜこれほどのご加護を賜っているのですか……!?」
「え、ええと……さ、さあ……?」
星の精霊ローゼクリス様の本体……女神ローゼクリス様が約束してくださったから。
でも、それを説明してもよくわからないんじゃないかなって思う。
エアリさんは頭を抱えて「え? え? ど、どういうことなのでしょう」と天を仰ぐ。
「はっ! そ、そんな私のステータスよりも、人工魔獣を倒しに行きましょう! ワタシ、また白い壁出します! タタング様、よろしいですか!?」
『無論だ。人工魔獣など、そもそも生み出すこと自体が禁忌! アグレドとブロードの軍はまさに鬼畜。神に代って我らが成敗してやろう』
「はい!」
タタング様に加護を使う許可を得て、テントから出る。
テントの中ではよく聞こえていなかったけれど、轟音爆音が響いてた。
人工魔獣と戦っているんだ。
待っててね、騎士さんたち!
私がすぐに人工魔獣を倒すから!
『まったく人工魔獣だなどと。女神ブロントズウェールへの反逆に等しい! イリヤよ、そなたの魔力で圧倒せよ!』
「はい!」
丸太の柵を飛び出し、戦場に戻る。
戻ると言っても、戦っている広場はもっと遠い。
遠いけどここは丘上。
丘の下の戦場に使われた広い場所はよく見える。
そこで暴れているのは薔薇の花のような魔獣だ。
時折、花の中心から極太の光線を出して本陣を狙っている。
それで丸太の柵は穴だらけ!
「タタング様! ここからでも白い壁は届きますか!?」
『【生命の盾】の[聖なる守護城壁]よりも、[恒星の裁き]を使え!』
「教えてください!」
私がタタング様に与えられた加護、【生命の盾】。
アルド兄様が朱雀様より賜った【朱雀の加護】と同じく複数のアーツ魔法を使える。
午前中に私が使ったのはタタング様が魔力と魔力制御をして、私を“器”という形で利用して使った[聖なる守護城壁]――味方以外を排除する白い壁。
私が今、自分の魔力で使うのは!
「なにより瞬く強き恒星、落ちる光の粒の下、悪しきもの、過ちのあるもの、我らの敵と立ちはだかるもの。神の裁きを受けよ! [恒星の裁き]!」
