転生したらHP10000だった。


「――魔道具について教えてもらえるかしら? 精霊様と、守護神様は教えてくださる?」
「きいてみる」

 守護神様と三人の精霊様を見上げる。
 難しい話だけれど、えっと、つまり要するに……王族が守護神様のご加護を得るには魔道具が必要ってこと、みたい?
 私の[ヘルスチャージ]みたいなモノがグレン王子にもあるってことなのだろう。多分。間違ってなければ。

『どうするのです? カルヴァの守護神。確かに今の王を王族と認めなくても、事実攻め込まれています。このままではカルヴァ王国は危険に晒され続けてしまいますわ』
『ふむふむ。……不本意なようだけれど、今の王が試練を受けて守護神に認められれば魔道具の在処を教えると言っていますわ。グレン王子にはすでに魔道具を与えているそうです』
「え? そうなの? グレンおうじ、もうまどうぐもってるんだ……じゃあ……」
「魔道具を持っている!? どういうこと!?」
「わひゃあ!?」

 そのまま繰り返すと、王妃様から肩を掴まれる。
 さっきの母様と同じく肩を掴まれたままガクガク揺さぶられるのだが、母様がすぐに王妃様を止めてくれた。
 王妃様、最初と違って我儘な小さな女の子みたい。
 ジュジュ様が一気に顔を赤くして『おいこらぁ! 王妃だからってイリヤを虐めたら怒りますよ! ワタシたちが加護をあげているんですからね!』と拳を振り上げる。
 そんなジュジュ様を左右からロクサーナ様とローゼクリス様が左右から押さえつけ、『どうどう』と宥めた。

「イリヤ、もう少し詳しく教えていただけない?」
『ダメよ! 詳しく教えてもグレンはまだ幼いもの! 魔力が安定していないから、魔道具を使えないわ!』
「えっと、グレンおうじ、まだまりょくがあんていしてないからダメって……」
「くっ!」
「確かにそうね……グレン王子も魔力が安定していないもの。魔道具があっても使えないわね。もう少し詳しいお話をお聞きしたかったけれど……」
『王家の魔道具は血で受け継がれるものなのです。取り出すには守護神に認められなければなりません。そして、守護神の加護を得るにはその魔道具を持っているかどうかが重要となります。今の王は姑息な手段で玉座を得たことで魔道具そのものを取り上げられています。認められたければ守護神の試練を受けるつもりがあるのかを確認してください』

 ローゼクリス様にそう言われたので、そのまま伝える。
 なんか王家の加護とか魔道具って色々面倒くさいんだねぇ。

『そうは言うけれど、国の守護神の加護というのはとても強力なのですわ。そんな強力な力、なんの制限もなく王族という理由だけで与えては悪用された時に大変なことになってしまいます。それでなくとも今の王は玉座を得るために人を害しているのですから』
「そっか……」

 私に星の精霊様の加護があるとわかった時も母様、父様はとても焦っていた。
 王家の加護は、その国の貴族を操ったり、魔力を奪ったりするらしい。
 とにかく絶対服従。
 そんな強力な加護を悪用したら、どうなるかわからないよね。

「えっと、おうひさま。しゅごしんさまは、こくおうへいかに“しれん”をうけるかどうかをきいてほしい、とおっしゃっております。“しれん”をうけ、ごうかくしたら“まどうぐ”と“かご”をあたえる、とおっしゃっております」
「試練ですって……? それは、どのような?」
『王によって試練は異なります。そもそも、守護神と王太子が意思疎通できていれば試練など必要がないものなのだそうですよ。まずは試練を受けるか受けないか、それを返答なさい、とつたえてくれるかしら? イリヤ」
「はい! ……えっと、“しれん”は元々いらなかったそうです。でも、いまのおうさまは“しれん”をうけるかどうか、さきにこたえなさい、だそうです」

 ローゼクリス様が王妃様を睨み下ろす。
 精霊様たちは本当に今の王様と王妃様を認めていないんだなぁ。
 王妃様の方はギッと唇を結び、私を睨む。
 そんなふうに私を睨んでも、なにも問題は解決しないんだけどなー。
 怖いなぁ。

「もう、いいわ。わかった。そこのお前、すぐに陛下に今の話を伝えて! イリヤ・オルヴァーニュ、その試練というのはどこで受けるの?」
「えーと………………おうさまが『うける』とおっしゃったら、そのしゅんかんからしゅごしんさまが“しれん”をおあたえになるそうです。“しれん”をこえられなければ、“おうと”に“てきぐん”がせまったしゅんかん『しゅごしゃのかべ』? をはつどうさせる、とおっしゃっております」
「守護者の壁……? なにかの魔法かしら?」
「“おくのて”だそうです。あんまりつかいたくないとおっしゃっています。えっと、おうぞくをばいかい? にしてつかうアーツまほうのはずなので、“かご”はあってもまどうぐをつかえないおうぞくしかいない、げんじょーでは、こくないの“ませき”の“まりょく”をしようして、しんにゅうしゃをはばむ、のだそうです」
「国内の、魔石の魔力……!?」
「それではまさか――国内の魔道具が使用できなくなる……ということ!?」
「はい」

 そうらしいよ。
 なんか難しいことばっかり言われて口疲れてきたんだけど。
 なに言ってるのかよくわからないしさぁ。
 私、精霊様が通訳してくれていることをただ話してるだけ。
 意味、ちょっとよくわかんない。
 つまり今なんの話してるんだろ?