改めて、本日教わったのは『素振り』の練習。
カルレットさんは「次回は弓矢の基礎をお教えしますわ。その次は槍の基礎。使ってみて、自分に合った武器を最低限扱えるくらいには練習なさればよろしいかと思いますの」と言う。
なるほど、私とルイシス兄様の得意なものをまずは探してみるってことか。
そんな感じで午前中は無限に剣の素振りをした。
昼食タイムを一時間。
午後は弓矢の基礎を教わった。
「弓矢は初心者が弓を引くのは少々危ないのですの。そして、結構腕力が必要な武器ですのよ。どちらかというと腕力に自信のない方は槍がおすすめですわ。間合いも取りやすくて、初心者でもある逃げる時間稼ぎをしやすいのですの。ですが、今回は弓矢を使ってみましょうね。こちらをお使いくださいな」
と、手渡されたのは弓の糸の中央に弓矢が最初からついているもの。
なんて言えばいいのか。
「この“摘み”を鏃に見立てて、弦を引く練習をしてみましょう。ちなみにこの摘みは通常の初心者用弓矢を引く強さに設定されていますの。さすがにルイシス様は引けるかしら?」
ほほほ、と口に手を当てて笑うカルレットさん。
手渡された弓矢の摘みを自分の方に引っ張り、矢を飛ばせるかどうかを練習する練習用弓矢なんだ。
なるほどなー。
よし、やってみよう!
「ん、んんん、んんんんん」
「っ……け、結構力がいるのですね」
「イリヤさんはやっぱり難しそうですわね。ルイシス様も難しいですか?」
「け、結構。同じ弦を使うものだから、使えると思いましたが」
「そうなのですよね。男性でしたらそれなりに弓矢はおすすめですの。ですが、見た目以上に弓を引くのは難しいんですのよね」
「ぶううう……」
無理! 重ーい!
弓矢を引くのこんなに力が必要だなんて思わなかった!
筋トレしなきゃいけないな、これは。
「お二人とも弓矢は難しそうですわね。それなら、槍を使ってみます?」
「そうですね。イリヤも大変そうだし」
「では、こちらをどうぞ」
で、持たされたのは先端が布に覆われて丸くなっている槍。
木剣よりも重い!
「先端が潰されているとただの棒ですね」
「棒術の訓練にも使われますから。槍術は日常的に近くにあるもの……たとえば箒などを使って咄嗟に戦うこともできますのよ。槍も棒も突き技が基本。女性であれば細剣で突き技を極めれば相当に戦えるようになりますが、まあ、ひとまず一通り使ってみましょう」
「そうですね」
扱い方は剣と同じ。
利き手を前へ、持つ。
腰を少し低めにして、利き足を前へ出す。
自分の腹の近くに利き手ではない方を持って、脇を閉める。
「真っ直ぐに、突くのです。こう!」
見本としてカルレットさんが槍を突き出す。
その速度!
そしてぶる、と上下に揺れるおっぱい。
……大すぎると揺れて痛そう。
実際今のはちょっと痛かったのか、それとなく姿勢を正したカルレットさんが槍を縦に持ち直し、もう片手でお乳の下に添えて「さあ、お二人もやってみましょう」と微笑む。
結構ぴっちりとした訓練服なのに、大きいと大変だなぁ。
でも――。
「イリヤもおおきくなったらカルレットさまぐらいおおきくなるかなぁ」
「え? なにが?」
「え? え、ええ? きっと……?」
いいなぁ、おっきなおっぱい。
なんでこんなに羨ましいんだろう?
あのおっぱいに顔を埋めて顔ぐりぐりしたい。
絶対できないけれど。
「カルレットさまは、なんさいなんですか?」
「わたくしですか? 今年で十四歳ですわ」
「わあ。イリヤもじゅうよんさいになったらそのくらいになれますか?」
「え……ええ。わたくしは、運動をよくするせいか確かに……同年代の殿方よりは……背が高いと言われておりますけれど」
「イリヤはなんの話をしているの……?」
十四歳であの大きさなのか。
ルイシス兄様と背丈も同じくらいだもんね、そっか、背も高いんだ。
かっこいいなー。
「じゃあ、イリヤもいっぱいうんどうします!」
「……頑張ってくださいませ……?」
運動すれば体も強くなって、成長も早くなるものなのかもしれない。
早く大きくなってグレン王子を守ってあげるんだ。
「えい! えい!」
「まあ、イリヤさんはなかなかに筋がよろしいわ。槍が合っているのかもしれませんわね」
「……カルレット嬢……申し訳ない……のだけれど……」
「ルイシス様は………………お疲れですのね」
隣を見ると、ルイシス兄様が槍をまるで杖のようにして腰を折ってぜえぜえ肩で息をしている。
嘘でしょ!? ルイシス兄様!?
六歳の私よりも……体力がない!?
「体力はそれなりにあると、思っていたんだけれど……はあ……はあ……」
「そ、そうですわよね。コンサートなどでお歌を歌っておられる時は、ずいぶん長い時間歌っておられますものね」
「武器を使う体力と……歌う体力……違うんですね……」
「そ、そうなのですか」
そ、そうなんだ。
なんか違うんだろうな。
「きっとルイシス様は体質的にも魔法が合ってらっしゃるのね。お気を落とさないで? そういう体質の方は当たり前におりますのよ」
「あ、ありがとうございます、カルレット嬢……」
