GENESIS外郭
崩れゆく大地の上。
そこに立っているのは、一人の能力者。
レイ。
――いや。
正確には、一之瀬ソウヤの身体を借りた、もう一つの人格である。
その正面には、一仁。
二人の周囲だけ、大地そのものが砕け続けている。
千太たちは近づくことすらできない。
「……強いな。」
一仁が口元の血を拭った。
レイは何も答えない。
ただ静かに拳を構える。
「お前。」
一仁が笑う。
「さっきまでのガキとはまるで違う。」
「まるで別人だ。」
レイの瞳が鋭くなる。
「……黙れ。」
「その目。」
「昔も見たことがある。」
一仁の言葉に、レイの殺気が一段階増した。
ドォン!!
次の瞬間、レイの姿が消える。
一仁の目前。
拳。
ドゴォォォン!!
一仁は腕で受け止める。
衝撃だけで背後のGENESIS外壁が吹き飛んだ。
「ははっ!」
一仁は笑う。
「最高だ!」
右手を振り上げる。
periculum(崩壊)
周囲数百メートル。
瓦礫。
地面。
鉄骨。
全てが一斉に崩れ始める。
しかし。
レイは一歩も退かなかった。
崩れ落ちる瓦礫を蹴る。
鉄骨を踏み台にする。
崩壊そのものを利用しながら距離を詰める。
「そう来るか!」
一仁も正面から迎え撃つ。
拳と拳。
衝撃だけで空気が裂けた。
その戦いを遠くから見守る千太。
額から血が流れている。
「未来が……。」
マリアが振り返る。
「どうした?」
「二人とも。」
「見えない。」
「え?」
「未来が速すぎる。」
Foresighterでも追えない。
未来が見える前に変化する。
千太は初めて能力の限界を感じていた。
「レイ……。」
マダラが呟く。
「あれは本当に能力者同士の戦いか。」
鬱星も静かに見つめる。
「人間離れしている。」
バスティーユが笑った。
「だから近づくなってことだ。」
誰も援護に入れない。
入った瞬間、巻き込まれる。
それほどまでに二人の戦いは異次元だった。
東京湾
「右舷!」
ベルソルトが叫ぶ。
「敵高速部隊!」
イーゼルが前へ出る。
「全迎撃砲、発射!」
ズドドドドドドッ!!
高速機が爆散する。
その爆煙の向こう。
さらにAz部隊が迫る。
ベルトがモニターを見る。
「まだ来る!」
フランは静かだった。
「数ではない。」
「問題は別にある。」
そう言って空を見上げる。
「……近い。」
グランと間宮
間宮との戦いも終盤。
「あなたも感じますか。」
間宮が笑う。
「世界の境界が軋んでいます。」
グランは空を見上げる。
「確かにな。」
「妙な気配だ。」
それだけ言うと再び拳を構えた。
「だが。」
「今は貴様だ。」
ドゴォォォン!!
間宮が海面へ吹き飛ばされる。
Genesis 第七収容区画
燕はセツナを支えて歩いていた。
結衣が治療を続ける。
イレイダは刀を肩へ担ぐ。
ネリクマだけが天井を見上げていた。
「……。」
アリスが聞く。
「どうしたの?」
「分からない。」
ネリクマは静かに答える。
「でも。」
「誰かが見てる。」
イレイダもその言葉で空を見た。
何もない。
それでも妙な圧迫感だけが残る。
名取家 地下祭壇
惣一は石板へ触れたまま動かない。
刹那が尋ねる。
「惣一様。」
「門ですか。」
「ああ。」
「向こう側が近づいている。」
夢幻が眉をひそめる。
「異空間。」
惣一は頷いた。
「まだ開かない。」
「だが。」
「時間の問題だ。」
異空間
静寂。
七つの椅子。
七人の神覚者。
誰も座ってはいなかった。
全員が裂け目の前へ立っている。
その向こうには現世。
GENESIS。
東京湾。
ハルシオン。
そして――
レイと一仁の戦いまでも映っていた。
ペルムが小さく笑う。
「面白い。」
ネフィが静かに目を細める。
「随分と荒れている。」
マコンは優しく微笑む。
「生命は必死ね。」
マオンは静かに頷いた。
「だからこそ価値がある。」
ゲヴォンは何も言わず、
ただレイを見つめていた。
その隣でシェフィルが口を開く。
「……始まる。」
最後に。
ゼゥテルが裂け目へ一歩近づく。
しかし、その足は境界線で止まった。
「まだ。」
その一言で全員が動きを止める。
「現世が我らを呼ぶ、その瞬間まで。」
誰も逆らわない。
誰も急がない。
だが――
異空間の空に走る亀裂は、先ほどよりもさらに大きく広がっていた。
その裂け目から、白い光が静かに現世へと零れ落ちる。
誰もまだ気づかない。
その光こそが――
"覇者の集い"が現世へ姿を現す前兆であることを。
第98話 完
崩れゆく大地の上。
そこに立っているのは、一人の能力者。
レイ。
――いや。
正確には、一之瀬ソウヤの身体を借りた、もう一つの人格である。
その正面には、一仁。
二人の周囲だけ、大地そのものが砕け続けている。
千太たちは近づくことすらできない。
「……強いな。」
一仁が口元の血を拭った。
レイは何も答えない。
ただ静かに拳を構える。
「お前。」
一仁が笑う。
「さっきまでのガキとはまるで違う。」
「まるで別人だ。」
レイの瞳が鋭くなる。
「……黙れ。」
「その目。」
「昔も見たことがある。」
一仁の言葉に、レイの殺気が一段階増した。
ドォン!!
次の瞬間、レイの姿が消える。
一仁の目前。
拳。
ドゴォォォン!!
一仁は腕で受け止める。
衝撃だけで背後のGENESIS外壁が吹き飛んだ。
「ははっ!」
一仁は笑う。
「最高だ!」
右手を振り上げる。
periculum(崩壊)
周囲数百メートル。
瓦礫。
地面。
鉄骨。
全てが一斉に崩れ始める。
しかし。
レイは一歩も退かなかった。
崩れ落ちる瓦礫を蹴る。
鉄骨を踏み台にする。
崩壊そのものを利用しながら距離を詰める。
「そう来るか!」
一仁も正面から迎え撃つ。
拳と拳。
衝撃だけで空気が裂けた。
その戦いを遠くから見守る千太。
額から血が流れている。
「未来が……。」
マリアが振り返る。
「どうした?」
「二人とも。」
「見えない。」
「え?」
「未来が速すぎる。」
Foresighterでも追えない。
未来が見える前に変化する。
千太は初めて能力の限界を感じていた。
「レイ……。」
マダラが呟く。
「あれは本当に能力者同士の戦いか。」
鬱星も静かに見つめる。
「人間離れしている。」
バスティーユが笑った。
「だから近づくなってことだ。」
誰も援護に入れない。
入った瞬間、巻き込まれる。
それほどまでに二人の戦いは異次元だった。
東京湾
「右舷!」
ベルソルトが叫ぶ。
「敵高速部隊!」
イーゼルが前へ出る。
「全迎撃砲、発射!」
ズドドドドドドッ!!
高速機が爆散する。
その爆煙の向こう。
さらにAz部隊が迫る。
ベルトがモニターを見る。
「まだ来る!」
フランは静かだった。
「数ではない。」
「問題は別にある。」
そう言って空を見上げる。
「……近い。」
グランと間宮
間宮との戦いも終盤。
「あなたも感じますか。」
間宮が笑う。
「世界の境界が軋んでいます。」
グランは空を見上げる。
「確かにな。」
「妙な気配だ。」
それだけ言うと再び拳を構えた。
「だが。」
「今は貴様だ。」
ドゴォォォン!!
間宮が海面へ吹き飛ばされる。
Genesis 第七収容区画
燕はセツナを支えて歩いていた。
結衣が治療を続ける。
イレイダは刀を肩へ担ぐ。
ネリクマだけが天井を見上げていた。
「……。」
アリスが聞く。
「どうしたの?」
「分からない。」
ネリクマは静かに答える。
「でも。」
「誰かが見てる。」
イレイダもその言葉で空を見た。
何もない。
それでも妙な圧迫感だけが残る。
名取家 地下祭壇
惣一は石板へ触れたまま動かない。
刹那が尋ねる。
「惣一様。」
「門ですか。」
「ああ。」
「向こう側が近づいている。」
夢幻が眉をひそめる。
「異空間。」
惣一は頷いた。
「まだ開かない。」
「だが。」
「時間の問題だ。」
異空間
静寂。
七つの椅子。
七人の神覚者。
誰も座ってはいなかった。
全員が裂け目の前へ立っている。
その向こうには現世。
GENESIS。
東京湾。
ハルシオン。
そして――
レイと一仁の戦いまでも映っていた。
ペルムが小さく笑う。
「面白い。」
ネフィが静かに目を細める。
「随分と荒れている。」
マコンは優しく微笑む。
「生命は必死ね。」
マオンは静かに頷いた。
「だからこそ価値がある。」
ゲヴォンは何も言わず、
ただレイを見つめていた。
その隣でシェフィルが口を開く。
「……始まる。」
最後に。
ゼゥテルが裂け目へ一歩近づく。
しかし、その足は境界線で止まった。
「まだ。」
その一言で全員が動きを止める。
「現世が我らを呼ぶ、その瞬間まで。」
誰も逆らわない。
誰も急がない。
だが――
異空間の空に走る亀裂は、先ほどよりもさらに大きく広がっていた。
その裂け目から、白い光が静かに現世へと零れ落ちる。
誰もまだ気づかない。
その光こそが――
"覇者の集い"が現世へ姿を現す前兆であることを。
第98話 完
