Psycer Brain ─ 神に抗え。その力で運命を変えろ。

登校。


並んで歩く。

沈黙。

でも気まずくない。



「ソウヤ」

「ん」

「今日、帰り一緒に帰れる?」

「……多分」



少し考えて答える。

結衣は頷く。



「そっか」



教室。



授業前のざわつき。



「ソウヤ」



横から声がした。



タジだった。



田島 達(たじまとおる)。みんなからは「タジ」と呼ばれている。

俺とは、小学校からの幼なじみである。

巨体にメガネという完全なるオタクキャラでもある。



椅子を逆にして、背もたれに腕を乗せている。

「昨日さ、 どこ行ってたん?」

「用事」

「即答すぎて草なんだが」

軽く笑う。

その口調は独特だった。

「タジまたそれ?」

近くの男子がツッコむ。

「いや気になるだろ。

突然ログアウトとかイベント発生してるし」

「ゲーム脳すぎ」

「人生はクソゲー。効率プレイ大事」

さらっと言う。

クラスでは、ちょっと変わったやつ扱いだ。

アニメ、ゲーム、ネット。

その話になると急に早口になる。

「昨日も秋葉(秋葉原)?」

「いや、神引きしてた!!」

「うわ出た」

「完全勝利なんだが?」

軽口が飛ぶ。

しかし、次の言葉でタジが少しだけ声を落とす。

「昨日の件、マジで何だったん?」

空気が、一瞬だけ変わる。

「……用事だって」

「そっかー」

「まあ詰めてもイベント進まんしな」

そう言って、前を向いたのであった。

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昼休み。


教室に残る。

珍しい選択。

「珍しいね」

結衣が隣に座る。

「屋上行かないの?」

「たまにはな」

机に肘をつく。

結衣は少しだけ見る。

「……ねえ」

「何」

「ほんとに大丈夫?」

今度はストレート。

「……何が」

「さっきから」

視線を外さない。

「ちょっとおかしいよ」

言葉が詰まる。

「……気のせいだろ」

「そうかな」

結衣は少し考えて、

「まあいいや」

でも。

「限界来る前に言ってね」

それだけを残してどこかに行ってしまった。

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放課後。


帰り道。


結衣と二人で歩く。

「ソウヤ」

「ん」

「無理してるときってさ」

少し間を置く。

「無理してないって言い方、ちょっと変になるよね」

何も言えない。

図星だった。

「……別に」

それだけ返す。

結衣はそれ以上何も言わない。

そのとき。

頭の奥に違和感。

足が止まる。



「ソウヤ?」



「……なんでもない」



再び歩き出す。



その瞬間。

――見つけた。

はっきりとした“意思”。

思考に混じる。

(……またか)

呼吸が乱れる。

でも。

隣には結衣がいる。

それだけで、少し落ち着く。

(……大丈夫だ)

そう思う。

だが。

その手は、わずかに震えていた。