Psycer Brain ─ 神に抗え。その力で運命を変えろ。

翌朝。

目が覚めた瞬間、

ソウヤは数秒だけ天井を見つめていた。

(……昨日)

夕焼けの公園。

頭に響いた“あの感覚”。

夢じゃない。

そう断言できる程度には、はっきりしていた。

だが、それ以上は何も残っていない。

体を起こす。

特に異常はない。

ただ、胸の奥に小さな引っかかりだけが残っていた。

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コンコン、とノックの音。

「ソウヤ、起きてる?」

結衣の声だった。

「……起きてる」

「じゃあ早くして。遅刻するよ」

「分かってる」

短いやり取り。

それだけで、少しだけ現実に戻る。

リビングに降りると、結衣が朝食を用意していた。

「はい、トースト」

「ありがと」

自然に受け取る。

当たり前の光景。

小さい頃から続いている日常。



一之瀬 結衣。



俺とは再従兄妹(はとこ)の関係である。

遠戚になるが、今は確かに家族だ。

両親を亡くしてから、

俺は結衣の家に引き取られた。

それが、今の生活の始まりだった。

(……もう、何年だっけ)

今さら数えることでもない。

ここが“帰る場所”なのは変わらない。

「昨日、帰ってくるの遅かったよね」

不意に言われる。

ソウヤは少しだけ手を止めた。

「……そうだっけ」

「そうだよ。先に帰ってたのに、いなかったし」

結衣はじっとソウヤを見る。

「何してたの?」

「ちょっと、用事があって」

曖昧に返す。

結衣は少しだけ考えてから、

「そっか」

それ以上は聞かなかった。

ただ、ぽつりと。

「遠い親戚でもさ」

トーストをかじりながら言う。

「一応、家族なんだから」

ソウヤは少しだけ目を細める。

「……分かってる」

短く返す。

けれど、その言葉は少しだけ弱かった。