東京湾――
夜空に映し出されていた遥か昔の光景は、ゆっくりと消えていった。
静寂。
誰一人として口を開かなかった。
白銀の結晶は役目を終えたかのように光を弱め、静かに海上へ浮かんでいる。
デウスが小さく呟く。
「……記録は終わった。」
アメスは結晶から目を離さない。
「能力の起源。」
「太陽の異常現象。」
グランは鼻で笑う。
マランは何も言わず、海を見つめていた。
その瞳には、どこか複雑な色が宿っていた。
一方――
GENESIS内部
崩壊は限界を迎えていた。
天井が崩れ、床には大きな亀裂が走る。
ゴゴゴゴゴゴ……
「もう保たない!」
タジが叫ぶ。
「イレイダ!」
「あと三分もない!」
イレイダは歯を食いしばる。
「ソウヤ!」
「決めろ!!」
その声が施設中へ響く。
レイと一仁
互いに満身創痍。
呼吸は荒く、身体中が血に染まっている。
一仁は笑った。
「最高だったぜ。」
「こんな戦いは初めてだ。」
レイも静かに構える。
「……。」
ソウヤが内側から語りかける。
『レイ。』
(ああ。)
『これで終わりにしよう。』
(ソウヤ。)
『俺たち二人でな。』
人格は一つ。
意志も一つ。
レイは静かに目を閉じ、再び開いた。
その瞳には、ソウヤの覚悟も宿っていた。
「来い!!」
一仁が雄叫びを上げる。
periculum――崩壊。
全身から凄まじい力が溢れ出す。
施設全体が軋み、瓦礫が宙へ舞う。
レイも踏み込む。
二人は一直線に駆ける。
ドォォォォォォォン!!!
拳と拳。
能力と能力。
すべてを乗せた最後の衝突。
その衝撃はGENESIS全体を揺るがした。
東京湾
その衝撃は海上にまで伝わる。
ベルトが思わず振り返る。
「内部で決着が……!」
フランは静かに頷く。
「ソウヤたちだ。」
ハルシオンとイーゼルはなお警戒を続ける。
海上では誰も動かない。
全員が地下の決着を待っていた。
覇者の集いも、異空間から静かに見届けている。
誰も介入しない。
それが彼らの役目だった。
GENESIS内部
爆煙が舞う。
視界が開ける。
そこには――
片膝をついたレイ。
そして。
一仁もまた膝をついていた。
「……。」
沈黙。
一仁はゆっくりと笑う。
「私の……負けか。」
レイは何も答えない。
一仁は血を吐きながら立ち上がろうとする。
しかし身体は動かない。
「ハハ……。」
「最後まで、お前は強かった。」
レイは静かに近づく。
「一仁。」
「もう終わりだ。」
一仁は空を見上げた。
崩れ落ちる天井の向こうに、小さな夜空が見える。
「案外……。」
「悪くない最後だった。」
その直後。
限界を迎えた床が大きく崩れ落ちる。
レイは即座に後方へ飛び退いた。
一仁は逃げなかった。
静かに笑みを浮かべたまま、その崩落へ身を委ねる。
「……またな。我が弟よ。」
その言葉を最後に。
一仁。ヴァルカマンの悪魔の姿は崩れゆくGENESISの闇へと消えていった。
「...!?」
ソウヤはその言葉に理解が追いつかなかった。
「ソウヤ!!」
イレイダが駆け寄る。
レイはその場に膝をついた。
ソウヤの意識が戻り始める。
『……終わったな。』
(ああ。)
レイは静かに答えた。
「我が弟よ...って」
レイが答える。
「その言葉の通りだ。」
(さぁ、ここからはお前の番だ。)
その瞬間。
レイの意識は再びソウヤの中へ溶け込み、一つとなる。
ソウヤはゆっくりと立ち上がる。
その瞳には、レイの覚悟も受け継がれていた。
「...帰ろう。」
「みんな。」
イレイダは小さく笑う。
「ああ。」
「帰るぞ。」
崩壊するGENESISから、ソウヤたちは最後の脱出を開始する。
こうして、GENESISでの戦いは終幕を迎える。
後に判明したことだが「一仁」は、生き別れの実兄であった。
最愛の弟との戦いに心躍らせていたのであろう。
しかし、その先には――
最終決戦という、さらに大きな戦いが待ち受けていた。
第123話 完
夜空に映し出されていた遥か昔の光景は、ゆっくりと消えていった。
静寂。
誰一人として口を開かなかった。
白銀の結晶は役目を終えたかのように光を弱め、静かに海上へ浮かんでいる。
デウスが小さく呟く。
「……記録は終わった。」
アメスは結晶から目を離さない。
「能力の起源。」
「太陽の異常現象。」
グランは鼻で笑う。
マランは何も言わず、海を見つめていた。
その瞳には、どこか複雑な色が宿っていた。
一方――
GENESIS内部
崩壊は限界を迎えていた。
天井が崩れ、床には大きな亀裂が走る。
ゴゴゴゴゴゴ……
「もう保たない!」
タジが叫ぶ。
「イレイダ!」
「あと三分もない!」
イレイダは歯を食いしばる。
「ソウヤ!」
「決めろ!!」
その声が施設中へ響く。
レイと一仁
互いに満身創痍。
呼吸は荒く、身体中が血に染まっている。
一仁は笑った。
「最高だったぜ。」
「こんな戦いは初めてだ。」
レイも静かに構える。
「……。」
ソウヤが内側から語りかける。
『レイ。』
(ああ。)
『これで終わりにしよう。』
(ソウヤ。)
『俺たち二人でな。』
人格は一つ。
意志も一つ。
レイは静かに目を閉じ、再び開いた。
その瞳には、ソウヤの覚悟も宿っていた。
「来い!!」
一仁が雄叫びを上げる。
periculum――崩壊。
全身から凄まじい力が溢れ出す。
施設全体が軋み、瓦礫が宙へ舞う。
レイも踏み込む。
二人は一直線に駆ける。
ドォォォォォォォン!!!
拳と拳。
能力と能力。
すべてを乗せた最後の衝突。
その衝撃はGENESIS全体を揺るがした。
東京湾
その衝撃は海上にまで伝わる。
ベルトが思わず振り返る。
「内部で決着が……!」
フランは静かに頷く。
「ソウヤたちだ。」
ハルシオンとイーゼルはなお警戒を続ける。
海上では誰も動かない。
全員が地下の決着を待っていた。
覇者の集いも、異空間から静かに見届けている。
誰も介入しない。
それが彼らの役目だった。
GENESIS内部
爆煙が舞う。
視界が開ける。
そこには――
片膝をついたレイ。
そして。
一仁もまた膝をついていた。
「……。」
沈黙。
一仁はゆっくりと笑う。
「私の……負けか。」
レイは何も答えない。
一仁は血を吐きながら立ち上がろうとする。
しかし身体は動かない。
「ハハ……。」
「最後まで、お前は強かった。」
レイは静かに近づく。
「一仁。」
「もう終わりだ。」
一仁は空を見上げた。
崩れ落ちる天井の向こうに、小さな夜空が見える。
「案外……。」
「悪くない最後だった。」
その直後。
限界を迎えた床が大きく崩れ落ちる。
レイは即座に後方へ飛び退いた。
一仁は逃げなかった。
静かに笑みを浮かべたまま、その崩落へ身を委ねる。
「……またな。我が弟よ。」
その言葉を最後に。
一仁。ヴァルカマンの悪魔の姿は崩れゆくGENESISの闇へと消えていった。
「...!?」
ソウヤはその言葉に理解が追いつかなかった。
「ソウヤ!!」
イレイダが駆け寄る。
レイはその場に膝をついた。
ソウヤの意識が戻り始める。
『……終わったな。』
(ああ。)
レイは静かに答えた。
「我が弟よ...って」
レイが答える。
「その言葉の通りだ。」
(さぁ、ここからはお前の番だ。)
その瞬間。
レイの意識は再びソウヤの中へ溶け込み、一つとなる。
ソウヤはゆっくりと立ち上がる。
その瞳には、レイの覚悟も受け継がれていた。
「...帰ろう。」
「みんな。」
イレイダは小さく笑う。
「ああ。」
「帰るぞ。」
崩壊するGENESISから、ソウヤたちは最後の脱出を開始する。
こうして、GENESISでの戦いは終幕を迎える。
後に判明したことだが「一仁」は、生き別れの実兄であった。
最愛の弟との戦いに心躍らせていたのであろう。
しかし、その先には――
最終決戦という、さらに大きな戦いが待ち受けていた。
第123話 完
