Psycer Brain ─ 神に抗え。その力で運命を変えろ。

ドクン――。
ドクン――。

GENESIS地下深部に眠る白銀の球体が脈打つたび、東京湾全体へ地鳴りが響き渡る。
崩壊した施設からは白銀の光が夜空へと立ち昇り、誰もがその異変を見上げていた。
オールドマンは静かに微笑む。
「ようやく……。」
「長年追い求めた真実が、姿を現そうとしている。」
デウスの瞳が鋭く細められた。
「貴様の好きにはさせん。」
その一言で空気が変わる。
アメスが一歩前へ出る。
穏やかな表情は消え、紅く染まった瞳だけがオールドマンを見据えていた。
「ここで終わりです。」

The Last Judgementer――最終審判。

半径十メートル。
絶対の裁きが届く領域。
オールドマンは笑みを浮かべたまま立ち止まる。
「やはり、その能力は厄介ですね。」
「ですが……。」
「私を止められるでしょうか。」
アメスは静かに右手を掲げる。
「あなたに――」
「敗北を。」
その瞬間。
世界が静まり返る。
オールドマンの身体が僅かに止まった。
能力が発動した証だった。
「フッ……。」
その静寂を破るように笑い声が響く。
「面白ぇじゃねぇか。」
グランだった。
彼は肩を鳴らしながら前へ出る。
「オールドマン。」
「テメェとは一度決着をつけたかった。」
オールドマンは振り返る。
「マスタークラウンの統帥。」
「あなたまで来ますか。」
「勘違いするな。」
グランの瞳には狂気が宿っていた。
「お前を倒すのは俺だ。」
その隣へ、マランが静かに歩み出る。
オールドマンは二人を見比べる。
「敵同士が共闘とは。」
「皮肉なものですね。」
マランは冷たく言い放つ。
「共闘じゃない。」
「お前を潰す。」
「それだけだ。」

ハルシオン艦橋
フランは静かに東京湾を見つめていた。
「始まる。」
ベルトはレーダーへ視線を落とす。
「艦長。」
「東京湾のエネルギー反応が急激に上昇しています。」
「ああ。」
「戦艦は動かすな。」
「ここで海域を守る。」
「了解。」
ベルソルトはすぐさまイーゼルへ通信を送る。
「イーゼル各艦!」
「防衛陣形維持!」
「東京湾から何も外へ出すな!」
巨大戦艦ハルシオンとイーゼルは、互いを援護しながら戦場を見守り続ける。

一方その頃。

GENESIS内部
レイと一仁の戦いは止まらない。
ドォォォォォン!!
拳が激突する。
「いいぞ!」
一仁が笑う。
「もっと来い!」
レイは短く答えた。
「終わらせる。」
その直後。
地下深部から響く鼓動が一段と強くなる。
ドクン――!!
タジが端末を見る。
「また反応が上がった!」
「球体が……!」
イレイダは地下を見つめた。
「嫌な予感しかしねぇ……。」
しかし今は動けない。
目の前には一仁が立ちはだかっている。

東京湾
デウスは静かに右手を構えた。
アメスも能力を維持する。
グランは拳を握り締める。
マランはゆっくりと構える。
四人の視線は、一人へ集まる。
オールドマン。
彼はゆっくりと両手を広げた。

「素晴らしい。」
「覇者の使徒。」
「マスタークラウン。」
「世界最強クラスの能力者たち。」
「全員を相手にできるとは。」

その笑みは一切崩れない。
「研究者として。」
「これほど幸福なことはありません。」
デウスが低く呟く。

「……行くぞ。」

次の瞬間。
デウス。
アメス。
グラン。
マラン。

四人が同時にオールドマンへ飛び込んだ。
轟音が東京湾へ響き渡る。

こうして――

東京湾にて最強クラスの五人による激突が、ついに幕を開けた。

第116話 完