東京湾――
海上へ降り立った七柱。
覇者の集い。
誰一人として能力を発動していない。
それでも、戦場全体から殺気だけが消えていた。
まるで世界そのものが、七人の存在を受け入れたようだった。
ゼゥテルは静かに周囲を見渡す。
その視線だけで、戦場にいる能力者全員の姿を捉えていた。
「これが現代の能力者か。」
誰に向けた言葉でもない。
しかし、その一言だけで空気が震えた。
グラン
グランは七柱を見据えたまま動かない。
隣では間宮も立ち上がることなく七人を見つめている。
「あなた方が……覇者の集い。」
間宮が静かに笑う。
「研究資料でしか見たことがありませんでした。」
ペルムが豪快に笑う。
「資料?」
「俺たちを研究してたのか?」
「興味深い。」
間宮が答えようとした瞬間――。
グランが前へ出た。
「下がれ。」
間宮は無言で後退する。
ゼゥテルがグランを見る。
「Compulsory executor。」
能力名を告げられた。
グランの眉が僅かに動く。
「その力。」
「使い方を誤れば、自らを滅ぼす。」
グランは静かに答えた。
「承知の上だ。」
ゼゥテルはそれ以上何も言わなかった。
GENESIS外郭
レイと一仁も拳を下ろしていた。
一仁が肩を鳴らす。
「せっかく盛り上がってきたんだけどな。」
レイは無言。
ソウヤが内側で問いかける。
(終わったのか?)
「違う。」
(じゃあ何で。)
「今は戦う時じゃない。」
レイの視線はゲヴォンへ向いていた。
ゲヴォンもまた、レイだけを見ている。
二人だけが共有する沈黙。
ソウヤには、その意味が分からなかった。
戦艦ハルシオン
ベルトはレーダーを何度も確認していた。
「何も映りません……。」
「目では見えているのに。」
フランは静かに七柱を見つめる。
「当然だ。」
「彼らは観測される側ではない。」
「世界を観測する側だからな。」
ベルトが続ける。
『艦長。』
『イーゼルは引き続きハルシオン護衛につきます。』
「助かる。」
『あいつらが敵ではない保証がありませんから。』
フランは小さく頷いた。
「正しい判断だ。」
ハルシオンとイーゼル。
二隻の巨大戦艦は並ぶように海上へ展開した。
Genesis 第七収容区画
燕はセツナを支えながら歩いていた。
結衣がすぐに駆け寄る。
「燕!」
「お姉さんは!?」
「命に別状はありません。」
結衣は安堵し、Healerを発動する。
柔らかな光がセツナを包む。
柚季が深く息を吐く。
「助かった……。」
小雨は壁にもたれながら眠そうに呟いた。
「……終わった?」
「まだだよ。」
柚季が苦笑する。
その時だった。
ネリクマが空を見上げた。
「……。」
イレイダが気付く。
「どうした?」
「なんか。」
「見られてる。」
イレイダも空を見る。
しかし何もない。
ただ、七柱だけが静かに立っている。
名取家
地下祭壇。
惣一は石板から手を離した。
夢幻が尋ねる。
「惣一さん。」
「石板は何と?」
惣一は静かに答える。
「歴史は繰り返す。」
刹那が眉を寄せる。
「……それだけですか?」
「ああ。」
「だが。」
惣一はゆっくり立ち上がる。
「ここから先は。」
「我々も動く時だ。」
夢幻と刹那が頷く。
名取家もまた、地下祭壇を後にした。
覇者の集い
七柱は動かない。
ペルムだけが退屈そうに笑う。
「ゼゥテル。」
「いつまで見てる?」
「もう少し。」
「人間ってのは面白い。」
ネフィが静かに微笑む。
「それぞれが違う正義を持っています。」
マコンも頷く。
「だからこそ見届ける価値がある。」
シェフィルは東京の街へ目を向ける。
「彼らが選ぶ未来。」
マオンは優しく続けた。
「その答えは、誰にも分からない。」
最後まで口を開かなかったゲヴォンが、静かにレイを見据える。
「……。」
レイもまた視線を返す。
ソウヤは内側からその様子を感じていた。
(レイ。)
(あの人は誰なんだ。)
レイは少しだけ目を閉じる。
「……今は、まだ聞くな。」
エピローグ
東京湾全体へ、静かな風が吹き抜ける。
覇者の集いの降臨によって、一度止まった戦場。
しかし、それは終戦ではない。
ゼゥテルが静かに呟く。
「デウス。」
「はい。」
「舞台は整った。」
デウスは小さく頷いた。
「ここから先は。」
「現代の能力者たち自身が道を切り開く。」
ゼゥテルは最後に戦場全体を見渡す。
グラン。
レイ。
フラン。
イレイダ。
惣一。
マラン。
ネリクマ。
そして――まだ姿を見せぬ者たち。
「さあ。」
「神に抗う者たちよ。」
「その力で、運命を変えてみせろ。」
その宣言とともに、静止していた世界は再び動き始める。
能力者たちの新たな戦いが、ここから幕を開ける。
第103話 完
海上へ降り立った七柱。
覇者の集い。
誰一人として能力を発動していない。
それでも、戦場全体から殺気だけが消えていた。
まるで世界そのものが、七人の存在を受け入れたようだった。
ゼゥテルは静かに周囲を見渡す。
その視線だけで、戦場にいる能力者全員の姿を捉えていた。
「これが現代の能力者か。」
誰に向けた言葉でもない。
しかし、その一言だけで空気が震えた。
グラン
グランは七柱を見据えたまま動かない。
隣では間宮も立ち上がることなく七人を見つめている。
「あなた方が……覇者の集い。」
間宮が静かに笑う。
「研究資料でしか見たことがありませんでした。」
ペルムが豪快に笑う。
「資料?」
「俺たちを研究してたのか?」
「興味深い。」
間宮が答えようとした瞬間――。
グランが前へ出た。
「下がれ。」
間宮は無言で後退する。
ゼゥテルがグランを見る。
「Compulsory executor。」
能力名を告げられた。
グランの眉が僅かに動く。
「その力。」
「使い方を誤れば、自らを滅ぼす。」
グランは静かに答えた。
「承知の上だ。」
ゼゥテルはそれ以上何も言わなかった。
GENESIS外郭
レイと一仁も拳を下ろしていた。
一仁が肩を鳴らす。
「せっかく盛り上がってきたんだけどな。」
レイは無言。
ソウヤが内側で問いかける。
(終わったのか?)
「違う。」
(じゃあ何で。)
「今は戦う時じゃない。」
レイの視線はゲヴォンへ向いていた。
ゲヴォンもまた、レイだけを見ている。
二人だけが共有する沈黙。
ソウヤには、その意味が分からなかった。
戦艦ハルシオン
ベルトはレーダーを何度も確認していた。
「何も映りません……。」
「目では見えているのに。」
フランは静かに七柱を見つめる。
「当然だ。」
「彼らは観測される側ではない。」
「世界を観測する側だからな。」
ベルトが続ける。
『艦長。』
『イーゼルは引き続きハルシオン護衛につきます。』
「助かる。」
『あいつらが敵ではない保証がありませんから。』
フランは小さく頷いた。
「正しい判断だ。」
ハルシオンとイーゼル。
二隻の巨大戦艦は並ぶように海上へ展開した。
Genesis 第七収容区画
燕はセツナを支えながら歩いていた。
結衣がすぐに駆け寄る。
「燕!」
「お姉さんは!?」
「命に別状はありません。」
結衣は安堵し、Healerを発動する。
柔らかな光がセツナを包む。
柚季が深く息を吐く。
「助かった……。」
小雨は壁にもたれながら眠そうに呟いた。
「……終わった?」
「まだだよ。」
柚季が苦笑する。
その時だった。
ネリクマが空を見上げた。
「……。」
イレイダが気付く。
「どうした?」
「なんか。」
「見られてる。」
イレイダも空を見る。
しかし何もない。
ただ、七柱だけが静かに立っている。
名取家
地下祭壇。
惣一は石板から手を離した。
夢幻が尋ねる。
「惣一さん。」
「石板は何と?」
惣一は静かに答える。
「歴史は繰り返す。」
刹那が眉を寄せる。
「……それだけですか?」
「ああ。」
「だが。」
惣一はゆっくり立ち上がる。
「ここから先は。」
「我々も動く時だ。」
夢幻と刹那が頷く。
名取家もまた、地下祭壇を後にした。
覇者の集い
七柱は動かない。
ペルムだけが退屈そうに笑う。
「ゼゥテル。」
「いつまで見てる?」
「もう少し。」
「人間ってのは面白い。」
ネフィが静かに微笑む。
「それぞれが違う正義を持っています。」
マコンも頷く。
「だからこそ見届ける価値がある。」
シェフィルは東京の街へ目を向ける。
「彼らが選ぶ未来。」
マオンは優しく続けた。
「その答えは、誰にも分からない。」
最後まで口を開かなかったゲヴォンが、静かにレイを見据える。
「……。」
レイもまた視線を返す。
ソウヤは内側からその様子を感じていた。
(レイ。)
(あの人は誰なんだ。)
レイは少しだけ目を閉じる。
「……今は、まだ聞くな。」
エピローグ
東京湾全体へ、静かな風が吹き抜ける。
覇者の集いの降臨によって、一度止まった戦場。
しかし、それは終戦ではない。
ゼゥテルが静かに呟く。
「デウス。」
「はい。」
「舞台は整った。」
デウスは小さく頷いた。
「ここから先は。」
「現代の能力者たち自身が道を切り開く。」
ゼゥテルは最後に戦場全体を見渡す。
グラン。
レイ。
フラン。
イレイダ。
惣一。
マラン。
ネリクマ。
そして――まだ姿を見せぬ者たち。
「さあ。」
「神に抗う者たちよ。」
「その力で、運命を変えてみせろ。」
その宣言とともに、静止していた世界は再び動き始める。
能力者たちの新たな戦いが、ここから幕を開ける。
第103話 完
