家に入ると、明翔が両手を広げる。
「来い! ツン! デレ!」
二匹の猫が明翔に飛びついた。
「かわいいなあ~、君たち」
しゃがみ込んで、二匹を愛でる明翔の背中がある。
いいな。
ツンとデレは素直で。
羨ましくて、俺も明翔の背中に体重を預けもたれる。
「ふふっ。デカい猫」
猫……。
目の前に並ぶ、ツンとデレが俺を見つめる。
ツンの澄んだ青い瞳は、俺の心の何もかもを全部見透かしているかのように冷たい。
「自分の心を解き放て」
と俺を突き放す。
デレの穏やかな緑の瞳は、俺を丸ごと包み込んでくれるかのように優しく暖かい。
「大丈夫、前に進もう」
と俺の背中を押す。
そうだよな。
素直になりたければ、なればいいだけなのに。
明翔なら大丈夫って、分かってるのに。
「俺、怖いんだよ」
「何が?」
「たぶん、俺も重い」
「うん。デカいもんね」
「じゃなくて」
「愛情も重くていいよ、俺は」
「きっと、逃げたくなる。俺、中里さん見てて外に癒しがないとしんどいよなって理解できたもん」
「俺は理解できないね。俺、勝負から逃げねえもん」
「忘れてたけどな。思いっきり」
「唇を奪うってそういうことか! って思った」
「理解してなかったんかい」
「理解してたら秒で終わってた」
この俺でも身動き取れないスピードで、唇を熱が走る。
「正真正銘、俺の勝ち」
真っ赤になってピースする明翔がかわいい。
かわいい。
「深月が何回も俺は俺、優は優だって言ったんじゃん。深月は深月で、母ちゃんにも中里さんにもならないよ」
「……俺、全力で明翔のこと好きになっていい?」
もう無理だ。
好きって言わずにいられない。
「深月、分かってる? 俺に優のこと隠してたし、ママのこともサバサバエピソードしか言わなかったし」
「……ごめんなさい……」
「それでも俺、深月が好きなんだよ。いいに決まってるじゃん」
明翔が抱きついてくれる。
俺が抱きしめるだけでいいように。
「明翔、好き。めっちゃ好き。大好き」
「俺も! うわあ、好きって思うのも言うのも楽しいけど、言われるとめちゃくちゃうれしい!」
「楽しくて言ってたのか」
俺はまだまだその域まで達していないようだ。
ちゃんと本音を言えて、ホッとしてる。
もっと本音を言えば、もっと二人の時間がほしい。
颯太や柳、一条と一緒にいる時の明翔も好きだけど、てか、明翔はあんま二人きりでもいつメンがいても変わらないけど、俺にはできない。
もっとちゃんと俺も気持ちを伝えられるようになって、ずっと好きでいてもらって、ずっとそばにいてほしい。
伝えてしまった。始まった。終わりの始まりが始まってしまった。
「なんで深月はテンション下がってんの」
「だって……。どうしても考えちゃうんだよ。親友と違って、付き合うと終わりがくるから」
「俺たちには終わりなんてないよ。親友は終わらないんでしょ。だったら、付き合うのが始まるだけだよ」
「……そっか。始まるだけか」
「そうだよ」
「明翔、ずっとそばにいてほしい」
なぜ今、首をかしげられたんだろう。
いきなり不安になってしまう。
「深月が一番伝えたいことがそれなのかな」
「はい?」
「深月、ほんとはもっといっぱい考えて、選んでるでしょ」
「え。なんで分かんの」
「なんとなく、考えてるなーって感じるっていうか。たぶん、深月がどっちが俺か分かるのと一緒だよ」
説明はできない。
でも、分かる……?
明翔が洗面所へ髪を洗いに行く。
その間に俺はツンとデレのごはんの用意をする。ツンはウェット多めが好き。デレはカリカリ多めが好き。
皿を両手に持つと、明翔が戻ってきた。
短髪ながら、いつもの明るい茶色に戻っている。
「やっぱり明翔は茶髪が似合うな」
「優の茶髪なんて想像つかないのにね」
「明翔らしさと一条らしさの違いだろうな」
不意打ちで抱きつかれて、思わず皿を落としそうになった。
「ねえ。みんなの前じゃなくていいから、もっと深月の気持ちちゃんと教えてよ」
「いや、俺マジでウザいかも」
「ウザいわけないでしょ。うれしいよ」
足元にモフモフが絡みつく。ミャアーと催促の声が上がった。
「ごめんごめん。お待たせ」
「うわあ、食ってる食ってる。かわいい〜」
明翔が目を細めて二匹を見つめる。
うれしいって、言ってもらえた。良かった。
ちゃんと不安な気持ちも言えた。
ツンデレのおかげだ。
ありがとうな。
勝手にアフレコさせてもらって。
「来い! ツン! デレ!」
二匹の猫が明翔に飛びついた。
「かわいいなあ~、君たち」
しゃがみ込んで、二匹を愛でる明翔の背中がある。
いいな。
ツンとデレは素直で。
羨ましくて、俺も明翔の背中に体重を預けもたれる。
「ふふっ。デカい猫」
猫……。
目の前に並ぶ、ツンとデレが俺を見つめる。
ツンの澄んだ青い瞳は、俺の心の何もかもを全部見透かしているかのように冷たい。
「自分の心を解き放て」
と俺を突き放す。
デレの穏やかな緑の瞳は、俺を丸ごと包み込んでくれるかのように優しく暖かい。
「大丈夫、前に進もう」
と俺の背中を押す。
そうだよな。
素直になりたければ、なればいいだけなのに。
明翔なら大丈夫って、分かってるのに。
「俺、怖いんだよ」
「何が?」
「たぶん、俺も重い」
「うん。デカいもんね」
「じゃなくて」
「愛情も重くていいよ、俺は」
「きっと、逃げたくなる。俺、中里さん見てて外に癒しがないとしんどいよなって理解できたもん」
「俺は理解できないね。俺、勝負から逃げねえもん」
「忘れてたけどな。思いっきり」
「唇を奪うってそういうことか! って思った」
「理解してなかったんかい」
「理解してたら秒で終わってた」
この俺でも身動き取れないスピードで、唇を熱が走る。
「正真正銘、俺の勝ち」
真っ赤になってピースする明翔がかわいい。
かわいい。
「深月が何回も俺は俺、優は優だって言ったんじゃん。深月は深月で、母ちゃんにも中里さんにもならないよ」
「……俺、全力で明翔のこと好きになっていい?」
もう無理だ。
好きって言わずにいられない。
「深月、分かってる? 俺に優のこと隠してたし、ママのこともサバサバエピソードしか言わなかったし」
「……ごめんなさい……」
「それでも俺、深月が好きなんだよ。いいに決まってるじゃん」
明翔が抱きついてくれる。
俺が抱きしめるだけでいいように。
「明翔、好き。めっちゃ好き。大好き」
「俺も! うわあ、好きって思うのも言うのも楽しいけど、言われるとめちゃくちゃうれしい!」
「楽しくて言ってたのか」
俺はまだまだその域まで達していないようだ。
ちゃんと本音を言えて、ホッとしてる。
もっと本音を言えば、もっと二人の時間がほしい。
颯太や柳、一条と一緒にいる時の明翔も好きだけど、てか、明翔はあんま二人きりでもいつメンがいても変わらないけど、俺にはできない。
もっとちゃんと俺も気持ちを伝えられるようになって、ずっと好きでいてもらって、ずっとそばにいてほしい。
伝えてしまった。始まった。終わりの始まりが始まってしまった。
「なんで深月はテンション下がってんの」
「だって……。どうしても考えちゃうんだよ。親友と違って、付き合うと終わりがくるから」
「俺たちには終わりなんてないよ。親友は終わらないんでしょ。だったら、付き合うのが始まるだけだよ」
「……そっか。始まるだけか」
「そうだよ」
「明翔、ずっとそばにいてほしい」
なぜ今、首をかしげられたんだろう。
いきなり不安になってしまう。
「深月が一番伝えたいことがそれなのかな」
「はい?」
「深月、ほんとはもっといっぱい考えて、選んでるでしょ」
「え。なんで分かんの」
「なんとなく、考えてるなーって感じるっていうか。たぶん、深月がどっちが俺か分かるのと一緒だよ」
説明はできない。
でも、分かる……?
明翔が洗面所へ髪を洗いに行く。
その間に俺はツンとデレのごはんの用意をする。ツンはウェット多めが好き。デレはカリカリ多めが好き。
皿を両手に持つと、明翔が戻ってきた。
短髪ながら、いつもの明るい茶色に戻っている。
「やっぱり明翔は茶髪が似合うな」
「優の茶髪なんて想像つかないのにね」
「明翔らしさと一条らしさの違いだろうな」
不意打ちで抱きつかれて、思わず皿を落としそうになった。
「ねえ。みんなの前じゃなくていいから、もっと深月の気持ちちゃんと教えてよ」
「いや、俺マジでウザいかも」
「ウザいわけないでしょ。うれしいよ」
足元にモフモフが絡みつく。ミャアーと催促の声が上がった。
「ごめんごめん。お待たせ」
「うわあ、食ってる食ってる。かわいい〜」
明翔が目を細めて二匹を見つめる。
うれしいって、言ってもらえた。良かった。
ちゃんと不安な気持ちも言えた。
ツンデレのおかげだ。
ありがとうな。
勝手にアフレコさせてもらって。

