一人は抜かした。
あとは、あの五組野郎だけ!
だが、距離が足りない。
間を詰めはしたものの、明翔がスタンバっているのが見える。
後は頼んだ!
「明翔! 走れ!」
リレーなんだから走るに決まってるのに、明翔はツッコミもせず笑った。
「走る!」
すげえ……。
明翔が本気で走るのを初めて見た。
「速ええええ!」
今、このグラウンドにいる全員が明翔の走りに魅了されている。
明翔がついに五組に接近した。
「行け! 明翔! 抜かせー!」
驚くべきことに、明翔は更に速度を増す。
コーナーを回って直線に入った頃には、後ろを確認する余裕まであった。
最後は、大きくジャンプしてゴールテープを切る。
「幅跳びじゃねえんだよ!」
思わず叫ぶと、ドッと笑いが起きた。
明翔がこちらに向けて親指を立てる。ワッとクラスメイトが明翔へと駆け寄る。
もちろん、俺も。
「すげえ! 明翔、めっちゃ速かった!」
「深月の声が聞こえたから、がんばれた!」
「えっ」
何を急にかわいいこと言ってんだよ。めっちゃ笑顔だし。
ドキッとしちゃって、言葉に詰まる。
得点板にリレーの点が追加される。
明翔と目が合い、ニヤリと笑う。
『閉会式を行います』
水筒をリュックに入れたり帰り支度をしていた手を止め、グラウンドに整列する。
「優勝旗って二人でもらいに行くんかな」
「そうでしょ。二人とも実行委員だもん」
校長先生が朝礼台に立つ。
「優勝、二年一組!」
『二年一組の実行委員は前に出てください』
明翔と並んで、優勝旗を受け取る。
思いのほかズッシリと重い。
列に戻ろうとしたら、工藤先生に襟首をつかまれた。
「優勝したクラスは、先頭で旗持つんだよ!」
あ、そうなの?
去年は麻雀してたら終わってたから知らんかった。
「素晴らしい体育祭でした! 特に、最後のリレー! 選手のがんばりはもちろん、全校生徒が一致団結しての応援!」
校長の話が長い。
もう終わっちゃうんだな……。
長引いた閉会式までもが終わった。
だが、優勝した我々にはこの旗を教室に飾るという仕事がまだ残っている。
「わぁっ、こんなに重いんだねっ」
柳が慌てて優勝旗を支えるが、大丈夫。
颯太はかわいらしく重いフリをしているだけである。
「去年も思いっきりやってたら楽しかったのかなっ」
「……かもな」
たぶん、明翔がいるから楽しかったんだ。
去年は麻雀しか覚えてないのに、すっげえ楽しかった。
黒岩くんと話し込んでいる明翔に、一歩一歩、近付いていく。
「初めて体育祭を楽しいと思えたんだ。高崎くんのおかげだよ。僕……高崎くんのこと、好きだな」
は?
黒岩くん、赤い顔して何言ってんの?
明翔もキョトンである。
そして、笑った。
え?
明翔?
「ありがと! 好きって言われるのってうれしいもんだね」
超サラッと流されたな。
ボーダーレスな明翔にとって、ただの友達はその他大勢と同義なのじゃ。ファイト。
「あ! 深月!」
「あいよ」
「俺、深月が好きだ」
「……は?」
「うわあ、言う方はなんか恥ずかしいな」
……え?
明翔が耳を真っ赤にして笑っている。
「ちょま……明翔、何言ってんの?」
「俺、小一の時にいとこの運動会に応援に行って、トイレ行きたくなったんだよ」
「うん、聞いた」
「トイレトイレ言いながら走ってる子がいたからついて行ったら、無事にトイレに着いてさ」
「うん」
「トイレから出たら、その子が手洗い場で手をブンブン振ってたの。ハンカチ持ってないのかなって思って、どうぞって渡したら、その子、ありがとう! って持って行っちゃって」
無意識に、ポッケからハンカチ様を取り出す。
「……これ……」
「俺のだわ。すっかり忘れてた」
「明翔のだったの?!」
俺に何度も力を与えしハンカチ様。
「あ、長いことごめん! えーと……返す」
「いいよ。お守りなんでしょ。長いこと大事にしてくれて、ありがとうね。深月、好きだなって思った」
好きって……どーゆう?!
ハンカチ様を差し出した俺の手を明翔が丸める。明翔の手が熱い。
「リアルBL……?!」
隠れBL大好きさん・ゆりが興奮しきりに膝をガクガクさせながらこちらを指差している。
リアル……BL?!
俺が?!
「違う! 明翔、バカなことを言ってんじゃねえよ。俺たち親友じゃん!」
「びっくりだよね。何がきっかけで親友を好きになるか分かんないもんだよ。こんな、すっかり忘れてたハンカチでさ」
「高崎くん! 僕は高崎くんのことが」
「三角関係?! BLの三角関係?!」
カオス。
この場を離れて、とにかく明翔と二人で話さなければ!
「明翔、優勝旗! 教室に飾りに行くぞ!」
「待って! リアルBL!」
「BLじゃねえし!」
「高崎くん、好きだー!」
「俺は深月が好きだから、あきらめてー」
「いいから!」
校舎へと、明翔の背中をバンバン押す。
教室に入り、掃除用ロッカーと空のロッカーの間にある防災バケツに優勝旗を立てかけてみる。
が、ズルズルと安定性に欠ける。
「もっと深いバケツないんかな」
「バケツをもうちょい前に出したら倒れないっしょ」
「おおー、さすが明翔」
明翔がえへへ、と嬉しそうに笑う。
……俺が褒めたからかな……。
いや、違う。
明翔の口ぶりからして、たぶん明翔は恋したことがないんだ。
だから、恋と濃い友情をはき違えている。
「あのな、明翔。お前が俺を好きだと思ってるのは、友情だよ。恋じゃない」
「モテるからって恋愛マスター気取りですかー」
「一応、経験値はあるからね?」
「じゃあ、恋だとどうなんですかー」
恋だと……。
……あれ?
俺が付き合ってきた女子たちは、恋じゃねえな。
付き合ってって言われたから付き合っただけで。
彼女がいるというステータスは、俺にとっても悪いもんじゃなかった。
俺が恋だと自信を持って言えるのは、一条だけだ。
「恋だとな、もう見てるだけで幸せなんだよ。極めるとな、後ろ姿だけで病気みたいに心臓がドキドキするんだよ」
「ストーカーじゃん」
「誰がストーカーじゃい!」
ロッカーにもたれかかってポケットに手を突っ込んでいた明翔が、体を起こした。
サッと俺の懐に飛び込んできて、上目遣いに俺を見上げる。
一条優そっくりの顔が至近距離に……!
「ちょっ、なん、急に!」
「俺、今ドキドキしてるよ」
「めっちゃ冷静じゃねえか!」
「深月のせいなんだよ」
「何が?!」
ギュッと抱きしめられて、頭が真っ白になってしまう。
「深月だけだよ。俺がやることにいちいちここまでリアクションするの」
「え……」
「俺だって、親友だと、濃い友情だと思ってたのに。深月がおかしいから、気になっちゃって、好きになっちゃったんだよ」
それは……俺のリアクションがおかしくなってしまうのは、明翔の顔のせいだ。
どういうわけかドッペルゲンガー級に一条そっくりなその顔のせいで、思い出しちゃうんだよ。
ただ、一条の姿を見るだけで幸せだった初恋を。
一度も話すことすらできずに、終わってしまった初恋を。
「俺の初恋を奪ったんだから、責任取ってよね」
「初恋?!」
「そうだよ」
「そんなん、どうやって」
「俺を好きになるだけでいいよ。簡単でしょ」
明翔が真っ赤な顔を上げる。
――やば……かわいい……。
「深月! 明翔! 荷物置きっぱなしで行っちゃうんだからっ」
「持ってきてくれたの? 優しいー」
明翔が颯太と柳へと駆けていく。
クルクル回りながらむやみにリュックを振り回しているのは、照れ隠しだろうか。
校門を出ると、明翔の家は反対方向なのですぐにお別れである。
「じゃあね! また明日!」
ヤバい。
明翔の笑顔のクオリティが昨日までとは違う。
……もしかして、明翔はマジで俺のことが好きなんじゃ……。
「どうしたんだい、呂久村くん。いつにも増してすっとぼけた顔をして」
「人が思い悩んでいる顔をディスるんじゃない。クソ柳」
「深月。一人で悩んでねえで俺に相談しろ――してくれたら、うれしいなっ」
うん、ギリギリアウトかな、颯太くん。
「颯太……。俺は、告られたんだろうか」
「良かったねっ。カワイ子ちゃんに告られて」
「良くねえだろ。いくらかわいくたって、明翔は男だぞ」
「ははは。平成くさい顔をしていると思ったら、思考も平成で止まっているようだね。男だ女だ言うのはナンセンスだよ。僕は、僕の美しさを全人類が崇めるべきだと常々思っている」
「お前も平成生まれだろうが!」
「深月」
颯太がかわいいフリを忘れて、漢の目で真剣に俺を見る。
つい、つられて俺も足を止めた。
「明翔が言ってただろうが。びっくりしてるって。いつ誰に惚れるかなんて、本人にだって分かんねえんだ。だがな、深月。男ってのは、己の気持ちに己が責任を持つものだ。俺は明翔を見直したよ。ただかわいいだけの男かと思ってたけど、明翔は立派な漢だ」
颯太、今まで一度たりとも己の気持ちを認めたことないじゃん。
だが、意外だ。
二人とも明翔肯定派。
もしかして、男の明翔に告られてビビってるって俺だけ?
そりゃ明翔はかわいいよ。
一条にそっくりなんだもん。
でも、男と付き合うとか想像できないんだけど……。
明翔に正直に、昔明翔そっくりな子が好きだったと打ち明けるべきか?
信じてもらえるだろうか。
変な作り話してると思われても嫌だし……。
――小学生の頃に一条に気持ちを伝えていれば、こんなことにはなってなかったのかな……。
あとは、あの五組野郎だけ!
だが、距離が足りない。
間を詰めはしたものの、明翔がスタンバっているのが見える。
後は頼んだ!
「明翔! 走れ!」
リレーなんだから走るに決まってるのに、明翔はツッコミもせず笑った。
「走る!」
すげえ……。
明翔が本気で走るのを初めて見た。
「速ええええ!」
今、このグラウンドにいる全員が明翔の走りに魅了されている。
明翔がついに五組に接近した。
「行け! 明翔! 抜かせー!」
驚くべきことに、明翔は更に速度を増す。
コーナーを回って直線に入った頃には、後ろを確認する余裕まであった。
最後は、大きくジャンプしてゴールテープを切る。
「幅跳びじゃねえんだよ!」
思わず叫ぶと、ドッと笑いが起きた。
明翔がこちらに向けて親指を立てる。ワッとクラスメイトが明翔へと駆け寄る。
もちろん、俺も。
「すげえ! 明翔、めっちゃ速かった!」
「深月の声が聞こえたから、がんばれた!」
「えっ」
何を急にかわいいこと言ってんだよ。めっちゃ笑顔だし。
ドキッとしちゃって、言葉に詰まる。
得点板にリレーの点が追加される。
明翔と目が合い、ニヤリと笑う。
『閉会式を行います』
水筒をリュックに入れたり帰り支度をしていた手を止め、グラウンドに整列する。
「優勝旗って二人でもらいに行くんかな」
「そうでしょ。二人とも実行委員だもん」
校長先生が朝礼台に立つ。
「優勝、二年一組!」
『二年一組の実行委員は前に出てください』
明翔と並んで、優勝旗を受け取る。
思いのほかズッシリと重い。
列に戻ろうとしたら、工藤先生に襟首をつかまれた。
「優勝したクラスは、先頭で旗持つんだよ!」
あ、そうなの?
去年は麻雀してたら終わってたから知らんかった。
「素晴らしい体育祭でした! 特に、最後のリレー! 選手のがんばりはもちろん、全校生徒が一致団結しての応援!」
校長の話が長い。
もう終わっちゃうんだな……。
長引いた閉会式までもが終わった。
だが、優勝した我々にはこの旗を教室に飾るという仕事がまだ残っている。
「わぁっ、こんなに重いんだねっ」
柳が慌てて優勝旗を支えるが、大丈夫。
颯太はかわいらしく重いフリをしているだけである。
「去年も思いっきりやってたら楽しかったのかなっ」
「……かもな」
たぶん、明翔がいるから楽しかったんだ。
去年は麻雀しか覚えてないのに、すっげえ楽しかった。
黒岩くんと話し込んでいる明翔に、一歩一歩、近付いていく。
「初めて体育祭を楽しいと思えたんだ。高崎くんのおかげだよ。僕……高崎くんのこと、好きだな」
は?
黒岩くん、赤い顔して何言ってんの?
明翔もキョトンである。
そして、笑った。
え?
明翔?
「ありがと! 好きって言われるのってうれしいもんだね」
超サラッと流されたな。
ボーダーレスな明翔にとって、ただの友達はその他大勢と同義なのじゃ。ファイト。
「あ! 深月!」
「あいよ」
「俺、深月が好きだ」
「……は?」
「うわあ、言う方はなんか恥ずかしいな」
……え?
明翔が耳を真っ赤にして笑っている。
「ちょま……明翔、何言ってんの?」
「俺、小一の時にいとこの運動会に応援に行って、トイレ行きたくなったんだよ」
「うん、聞いた」
「トイレトイレ言いながら走ってる子がいたからついて行ったら、無事にトイレに着いてさ」
「うん」
「トイレから出たら、その子が手洗い場で手をブンブン振ってたの。ハンカチ持ってないのかなって思って、どうぞって渡したら、その子、ありがとう! って持って行っちゃって」
無意識に、ポッケからハンカチ様を取り出す。
「……これ……」
「俺のだわ。すっかり忘れてた」
「明翔のだったの?!」
俺に何度も力を与えしハンカチ様。
「あ、長いことごめん! えーと……返す」
「いいよ。お守りなんでしょ。長いこと大事にしてくれて、ありがとうね。深月、好きだなって思った」
好きって……どーゆう?!
ハンカチ様を差し出した俺の手を明翔が丸める。明翔の手が熱い。
「リアルBL……?!」
隠れBL大好きさん・ゆりが興奮しきりに膝をガクガクさせながらこちらを指差している。
リアル……BL?!
俺が?!
「違う! 明翔、バカなことを言ってんじゃねえよ。俺たち親友じゃん!」
「びっくりだよね。何がきっかけで親友を好きになるか分かんないもんだよ。こんな、すっかり忘れてたハンカチでさ」
「高崎くん! 僕は高崎くんのことが」
「三角関係?! BLの三角関係?!」
カオス。
この場を離れて、とにかく明翔と二人で話さなければ!
「明翔、優勝旗! 教室に飾りに行くぞ!」
「待って! リアルBL!」
「BLじゃねえし!」
「高崎くん、好きだー!」
「俺は深月が好きだから、あきらめてー」
「いいから!」
校舎へと、明翔の背中をバンバン押す。
教室に入り、掃除用ロッカーと空のロッカーの間にある防災バケツに優勝旗を立てかけてみる。
が、ズルズルと安定性に欠ける。
「もっと深いバケツないんかな」
「バケツをもうちょい前に出したら倒れないっしょ」
「おおー、さすが明翔」
明翔がえへへ、と嬉しそうに笑う。
……俺が褒めたからかな……。
いや、違う。
明翔の口ぶりからして、たぶん明翔は恋したことがないんだ。
だから、恋と濃い友情をはき違えている。
「あのな、明翔。お前が俺を好きだと思ってるのは、友情だよ。恋じゃない」
「モテるからって恋愛マスター気取りですかー」
「一応、経験値はあるからね?」
「じゃあ、恋だとどうなんですかー」
恋だと……。
……あれ?
俺が付き合ってきた女子たちは、恋じゃねえな。
付き合ってって言われたから付き合っただけで。
彼女がいるというステータスは、俺にとっても悪いもんじゃなかった。
俺が恋だと自信を持って言えるのは、一条だけだ。
「恋だとな、もう見てるだけで幸せなんだよ。極めるとな、後ろ姿だけで病気みたいに心臓がドキドキするんだよ」
「ストーカーじゃん」
「誰がストーカーじゃい!」
ロッカーにもたれかかってポケットに手を突っ込んでいた明翔が、体を起こした。
サッと俺の懐に飛び込んできて、上目遣いに俺を見上げる。
一条優そっくりの顔が至近距離に……!
「ちょっ、なん、急に!」
「俺、今ドキドキしてるよ」
「めっちゃ冷静じゃねえか!」
「深月のせいなんだよ」
「何が?!」
ギュッと抱きしめられて、頭が真っ白になってしまう。
「深月だけだよ。俺がやることにいちいちここまでリアクションするの」
「え……」
「俺だって、親友だと、濃い友情だと思ってたのに。深月がおかしいから、気になっちゃって、好きになっちゃったんだよ」
それは……俺のリアクションがおかしくなってしまうのは、明翔の顔のせいだ。
どういうわけかドッペルゲンガー級に一条そっくりなその顔のせいで、思い出しちゃうんだよ。
ただ、一条の姿を見るだけで幸せだった初恋を。
一度も話すことすらできずに、終わってしまった初恋を。
「俺の初恋を奪ったんだから、責任取ってよね」
「初恋?!」
「そうだよ」
「そんなん、どうやって」
「俺を好きになるだけでいいよ。簡単でしょ」
明翔が真っ赤な顔を上げる。
――やば……かわいい……。
「深月! 明翔! 荷物置きっぱなしで行っちゃうんだからっ」
「持ってきてくれたの? 優しいー」
明翔が颯太と柳へと駆けていく。
クルクル回りながらむやみにリュックを振り回しているのは、照れ隠しだろうか。
校門を出ると、明翔の家は反対方向なのですぐにお別れである。
「じゃあね! また明日!」
ヤバい。
明翔の笑顔のクオリティが昨日までとは違う。
……もしかして、明翔はマジで俺のことが好きなんじゃ……。
「どうしたんだい、呂久村くん。いつにも増してすっとぼけた顔をして」
「人が思い悩んでいる顔をディスるんじゃない。クソ柳」
「深月。一人で悩んでねえで俺に相談しろ――してくれたら、うれしいなっ」
うん、ギリギリアウトかな、颯太くん。
「颯太……。俺は、告られたんだろうか」
「良かったねっ。カワイ子ちゃんに告られて」
「良くねえだろ。いくらかわいくたって、明翔は男だぞ」
「ははは。平成くさい顔をしていると思ったら、思考も平成で止まっているようだね。男だ女だ言うのはナンセンスだよ。僕は、僕の美しさを全人類が崇めるべきだと常々思っている」
「お前も平成生まれだろうが!」
「深月」
颯太がかわいいフリを忘れて、漢の目で真剣に俺を見る。
つい、つられて俺も足を止めた。
「明翔が言ってただろうが。びっくりしてるって。いつ誰に惚れるかなんて、本人にだって分かんねえんだ。だがな、深月。男ってのは、己の気持ちに己が責任を持つものだ。俺は明翔を見直したよ。ただかわいいだけの男かと思ってたけど、明翔は立派な漢だ」
颯太、今まで一度たりとも己の気持ちを認めたことないじゃん。
だが、意外だ。
二人とも明翔肯定派。
もしかして、男の明翔に告られてビビってるって俺だけ?
そりゃ明翔はかわいいよ。
一条にそっくりなんだもん。
でも、男と付き合うとか想像できないんだけど……。
明翔に正直に、昔明翔そっくりな子が好きだったと打ち明けるべきか?
信じてもらえるだろうか。
変な作り話してると思われても嫌だし……。
――小学生の頃に一条に気持ちを伝えていれば、こんなことにはなってなかったのかな……。

