あの橋の下の暗がりに、『今』へ続く君を思う

 言いかけたところにパシャッとシャッター音。泉が構えていたカメラを下ろし、レンズの下の排出口から写真が出て来る。

「ああ、よかった。ちゃんと写るね」

 彼がそう言ってテーブルに置いた写真には、ゲンナリ顔かつ目が半開きになった直巳の姿。仁愛がプッと笑うと、直巳が「なんだよぉ!」と写真を叩く。

 泉がカメラを構え、「はい、梛木さん」とレンズを仁愛に向けた。仁愛はすかさず両手でピースをしてポーズを決める。

 パシャッとシャッター音。泉が出てきた写真を見て、「さすが女子高生だねぇ」と笑ってテーブルに置いた。

「可愛く決まっているよ」

 それを見た直巳はぐぬぬと顔を顰め、

「おい、泉。俺ももっとちゃんと撮れよ」

 不満を露わにする彼に、泉が「オッケー」と言ってカメラを向ける。

 シャッター音。二人が出て来た写真を覗き、

「藤野くん、君は写真に写るのが下手だね」
「お前の撮り方が悪いんだ!」

 再びシャッター音。

「君、もしかして音に合わせて瞬きしてる?」
「んなことするかぁ!」

 またシャッター音。

「僕、君を撮りたくてカメラを買ったわけではないんだけど」
「じゃあちゃんと撮れよ!」

 再び。

「……もう、みんなで撮ろうか」
「諦めんなぁ!」

 泉が「君、写真に写る才能ないよ」とぼやく。直巳は「くっそー」と独りごち、ふと何かに気づいた様子で泉からカメラを奪い取った。

「仁愛、お前が撮れ」

 カメラを渡された仁愛が首を傾げると、直巳はニヤリと笑って「泉が下手くそなだけだって証明する」と言った。それからふと、テーブルの上の仁愛の写真に視線を落とし、

「…………」

 何かを考えること数秒。顎の横に両手でピース。

「よし、撮れ」
「……あんた、あたしに喧嘩売ってる?」