「うう……良かった……良かったです……!」
「良かったな」
更に翌週。
完全復活した西宮と、予定していた所とは別の花火大会に無事来られていた。
西宮は道中で買った焼きとうもろこしを食べながらメソメソしている。
食うかメソメソするかどっちかにしろと思ったけれど、西宮は先週かなり落ち込んでいたから、まあそうなるか、と見守ることにした。
時々一粒ずつとうもろこしを寄越してくるのはよく分からなかったが。
「花火、写せますかね」
「どうだろうなぁ」
今日は俺もカメラを持ってきていた。
西宮が風邪を引いたあの日、夕日で照らされた西宮を咄嗟に撮ることができなかった後悔が、未だに少しだけ残っていたから。
また寄越される一粒のとうもろこしを食べながら、川沿いに並ぶ沢山の人を見遣る。
皆楽しそうに、幸せそうに、傍に居る人と話しながら打ち上がる花火を今か今かと待ちわびていて、気温以上の熱気を感じた。
それからふと、この夏が終われば俺が怯えていた三ヶ月後がやってくることを思い出す。
ここまで不安になる隙がないほど、ずっと傍で笑ったりメソメソしたりしていた西宮を思って笑う。
そんな俺を、横でとうもろこしを食べながら不思議そうに見てくる西宮に首を振りながら、これまでのお付き合いでは一ヶ月を過ぎた辺りでお互いの熱が落ち着いていたことを考えた。
今は西宮が熱いどころかずっと燃えているし、俺も何だかんだ西宮を毎日のように可愛いと思っている。
付き合う前はこんな風になると思わなかった。
それどころか、更にもっと前は西宮と付き合うことになるとすら思っていなかった。
それがここまで好きになって、介抱にだって愛しさを感じて、部屋には西宮と付き合ったことで増えた物が溢れていて。
色んなものを貰っているなと思う。
経験も記憶も物も、全て。
「ありがとな」
「はいっ」
多分とうもろこしのお礼だと思った西宮は、いつも通りのキラキラとした笑顔で笑っている。
そんな西宮を見て俺も笑う。
やがて打ち上がった花火はめちゃくちゃに大きくて、よく照らされた西宮の横顔を沢山撮影した。
カメラを覗くその真剣な眼差しを、どこの誰よりもかっこいいと思った。
「また来ます、必ず、絶対に」
「明日会うだろ」
夏休みの間何度も泊まっていった西宮は、最終日に物凄く名残惜しそうにしながら帰っていった。
昨日も作ったカレーをしっかりとタッパに詰めて持って帰るところは抜かりがなくて笑ったけれど。
それから暫くしてビデオ通話がきて、一瞬迷って拒否したけれどまた着信が来るから仕方なく出る。
「先輩!なんで切るんですかっ」
「トイレ中かもしれないだろ」
「先輩はトイレにスマホ持っていかないでしょっ」
「……確かに」
よく見てるなと思う。
どうせ直ぐ戻るし、便器に落としても嫌だから俺はトイレにスマホを持ち込まない。
だから直ぐに拒否できたということはトイレ中じゃないでしょ、という証明のされ方をして、俺の癖がバレていて少し気恥しいような、嬉しいような。
「俺今からカレー食べるので見ててください!」
「はああ?」
「先輩もまだなら一緒に食べませんか?」
「…………食う」
「ふふっ」
画角を調整したり、この画面録画できないかなとか不穏なことを言っている西宮を文字通り置いて、キッチンに準備をしに行く。
温め直したカレーは二日目なこともあって、見た目から既に最高だった。
「……!……?」
「うるせぇ」
スマホを置いてきたせいで何を言っているか分からないけれど、ずっと何かは言っている西宮の声が遠くから聞こえる。
ここに居ないはずなのに存在感が凄くて笑って、ようやく戻ると「スプーンの中にカレー作って待ってました!」とキラキラの笑顔を見せてくるからまた可愛いと言いかけて詰まった。
「っ、お待たせ」
「いえいえ!いただきます!」
「いただきます」
画面越しに食べる西宮を見ながら、俺もカレーを食べる。
スパイスから作ったカレーも既に二回目の挑戦だったが、大成功を収めた上に二日目の美味しさが上乗せされていて、あまりの美味しさに若干涙が出るほどの仕上がりだった。
「んんんん美味しい」
「美味い」
西宮が帰った後、部屋がほんの少し広く見えて寂しく感じていた気持ちが満たされていく。
西宮もそう感じたから俺にビデオ通話してきたのかと思うと更に愛しさも満たされた。
「幸せです、先輩!」
「……そうか」
俺は、お前を満たすことが俺の使命だと思った。
そんな相手に幸せだと言われて、これ以上ない幸せだと俺も笑った。
「良かったな」
更に翌週。
完全復活した西宮と、予定していた所とは別の花火大会に無事来られていた。
西宮は道中で買った焼きとうもろこしを食べながらメソメソしている。
食うかメソメソするかどっちかにしろと思ったけれど、西宮は先週かなり落ち込んでいたから、まあそうなるか、と見守ることにした。
時々一粒ずつとうもろこしを寄越してくるのはよく分からなかったが。
「花火、写せますかね」
「どうだろうなぁ」
今日は俺もカメラを持ってきていた。
西宮が風邪を引いたあの日、夕日で照らされた西宮を咄嗟に撮ることができなかった後悔が、未だに少しだけ残っていたから。
また寄越される一粒のとうもろこしを食べながら、川沿いに並ぶ沢山の人を見遣る。
皆楽しそうに、幸せそうに、傍に居る人と話しながら打ち上がる花火を今か今かと待ちわびていて、気温以上の熱気を感じた。
それからふと、この夏が終われば俺が怯えていた三ヶ月後がやってくることを思い出す。
ここまで不安になる隙がないほど、ずっと傍で笑ったりメソメソしたりしていた西宮を思って笑う。
そんな俺を、横でとうもろこしを食べながら不思議そうに見てくる西宮に首を振りながら、これまでのお付き合いでは一ヶ月を過ぎた辺りでお互いの熱が落ち着いていたことを考えた。
今は西宮が熱いどころかずっと燃えているし、俺も何だかんだ西宮を毎日のように可愛いと思っている。
付き合う前はこんな風になると思わなかった。
それどころか、更にもっと前は西宮と付き合うことになるとすら思っていなかった。
それがここまで好きになって、介抱にだって愛しさを感じて、部屋には西宮と付き合ったことで増えた物が溢れていて。
色んなものを貰っているなと思う。
経験も記憶も物も、全て。
「ありがとな」
「はいっ」
多分とうもろこしのお礼だと思った西宮は、いつも通りのキラキラとした笑顔で笑っている。
そんな西宮を見て俺も笑う。
やがて打ち上がった花火はめちゃくちゃに大きくて、よく照らされた西宮の横顔を沢山撮影した。
カメラを覗くその真剣な眼差しを、どこの誰よりもかっこいいと思った。
「また来ます、必ず、絶対に」
「明日会うだろ」
夏休みの間何度も泊まっていった西宮は、最終日に物凄く名残惜しそうにしながら帰っていった。
昨日も作ったカレーをしっかりとタッパに詰めて持って帰るところは抜かりがなくて笑ったけれど。
それから暫くしてビデオ通話がきて、一瞬迷って拒否したけれどまた着信が来るから仕方なく出る。
「先輩!なんで切るんですかっ」
「トイレ中かもしれないだろ」
「先輩はトイレにスマホ持っていかないでしょっ」
「……確かに」
よく見てるなと思う。
どうせ直ぐ戻るし、便器に落としても嫌だから俺はトイレにスマホを持ち込まない。
だから直ぐに拒否できたということはトイレ中じゃないでしょ、という証明のされ方をして、俺の癖がバレていて少し気恥しいような、嬉しいような。
「俺今からカレー食べるので見ててください!」
「はああ?」
「先輩もまだなら一緒に食べませんか?」
「…………食う」
「ふふっ」
画角を調整したり、この画面録画できないかなとか不穏なことを言っている西宮を文字通り置いて、キッチンに準備をしに行く。
温め直したカレーは二日目なこともあって、見た目から既に最高だった。
「……!……?」
「うるせぇ」
スマホを置いてきたせいで何を言っているか分からないけれど、ずっと何かは言っている西宮の声が遠くから聞こえる。
ここに居ないはずなのに存在感が凄くて笑って、ようやく戻ると「スプーンの中にカレー作って待ってました!」とキラキラの笑顔を見せてくるからまた可愛いと言いかけて詰まった。
「っ、お待たせ」
「いえいえ!いただきます!」
「いただきます」
画面越しに食べる西宮を見ながら、俺もカレーを食べる。
スパイスから作ったカレーも既に二回目の挑戦だったが、大成功を収めた上に二日目の美味しさが上乗せされていて、あまりの美味しさに若干涙が出るほどの仕上がりだった。
「んんんん美味しい」
「美味い」
西宮が帰った後、部屋がほんの少し広く見えて寂しく感じていた気持ちが満たされていく。
西宮もそう感じたから俺にビデオ通話してきたのかと思うと更に愛しさも満たされた。
「幸せです、先輩!」
「……そうか」
俺は、お前を満たすことが俺の使命だと思った。
そんな相手に幸せだと言われて、これ以上ない幸せだと俺も笑った。



