これからの色

春。
あの日、早紀と最後に歩いた川べりに架かる鉄橋を渡り、見慣れた町を出た。
後ろに流れる景色より、前を見た。

俺は無事大学生になれた。
新しい街で、新しい生活が始まる。

新しい街はカラフルだった。
今まで俺が知らなかった色が街に溢れていた。

大学には本当にいろんな人がいた。
無難な服を着ている人もいれば、俺なんかよりずっと奇抜な服の人もいる。
中にはまったく無頓着な人も。

あの時、わくわくした幾何学模様のグリーンのカーディガンを着て大学へ行ったら、友達に、
「珍しいデザインだね」
と言われた。
そして、
「でもなんか、大木っぽい」
と。
かっこいいとか似合うより、ずっと嬉しかった。

今日も、幾何学模様のグリーンのカーディガン。
前より馴染んだと思う。
中庭の桜の木を見上げる。
桜の若葉に日が差して、きらきらと眩しい。
ふと、視線を感じた。
大学生になっても、やっぱり見られる。
前なら居心地が悪かったけど。
今は「ま、いっか」と思える。

だって。
俺は、俺だから。

それより、ほら?
この服、おもしろいでしょ?