巻き込まれる僕ら

さっそくハントと遊ぼう、と立ち上がろうとしたら、スマホがペコンと鳴った。

「倖奈ちゃんじゃん! 倖奈ちゃん、なんて?」
「今から電話できるかって……」
「電話してやれよ! 早く早く!」
「う、うん。じゃあ、ちょっと行ってくる」

部屋を出て、リビングで今はオーストラリアにいる倖奈に電話をかける。

『コタ、インフル治った?』
「うん。今友達と遅れてきたクリスマスパーティしてる」
『コタがクリスマスパーティ? 陰キャでもやるんだ』
「うるさいな。倖奈こそどうだった? 初めてのクリスマス」
『暑いクリスマスって変な感じ。でも楽しかった!』

他愛もない話をして、電話を切って部屋に戻る。

すぐに、石井くんと目が合った。
石井くんは、何かを訴えるかのようにジーッと目を見てくる。

どうかしたのかな?

「コタ! これ新しいゲームじゃね?!」
「うん。父さんが買ってくれて」
「買う以前に売ってなくね?! すげえ!」
「遊んでいいよ。ソフト二個しかないけど」
「カートだろ、カート!」
「パーティだろ!」

瑠偉たちがゲームに夢中な隙に、石井くんの隣に座った。

「ねえ。どうして、ここで電話しなかったの?」
「え」

わざわざ部屋を出るなんて、変な電話だと思われてる?!

「違うの! 倖奈って、前に話した幼なじみなんだけど」
「目黒くんが好きな子だよね」
「そう! 倖奈は瑠偉が俺の部屋にいるとは思ってないだろうから、バレたくなくて」
「どうして?」
「だって……。瑠偉が倖奈を好きになったのがきっかけで仲良くなった、って説明することになると思ったから」
「説明したくないの?」
「ていうか……。幼なじみに好きって単語言うのが恥ずかしい。俺たちの間に、好きとかないから」

ちょっとメガネの奥の目が開いて、細くなった。

石井くんが笑ってくれて、ホッとする。

「石井くんもゲームしようよ! 負けたら罰ゲームね!」

瑠偉がコントローラーを持って笑顔で近付いてくる。

また罰ゲームとか言ってるし!

急いで立ち上がり、石井くんの腕を引っ張った。

「瑠偉! 俺らハントの散歩行ってくるから、好きに遊んでていいよ!」
「サンキュー! 帰ってきたら五人で交代でやろうな!」

コートを着て、去年のクリスマスに倖奈がくれたマフラーを巻き、外に出る。