巻き込まれる僕ら

雪がちらつく。

三月に雪なんて、珍しい。思わず空を見上げた。
瞬間、気付いた。

俺、うつむいてたんだ。
やっと、顔を上げられた。

「もう一年生も終わりか……。早かったな」
「そうだね……」
「ダメダメ、暗くなるのはやめよ! いいなー、野生のコアラとかカンガルーとか見れるの」
「そんな大自然なところじゃないけどね」

倖奈(ゆきな)が苦笑する。
小さい時から、何度となく見てきた表情。

「……元気で。帰ってきたら、また遊ぼ」
「うん。コタも、元気で」

車が見えなくなるまで、手を振って見送った。
小さい時から何度も言ってたけど、今日はなんだか言えなかった。

……ばいばい、倖奈……。

「おい。お前、あの子とどういう関係だ」
「目黒瑠偉?!」

振り返ったら、目黒軍団に囲まれてびっくりした。
高身長の目黒瑠偉が壁みたいで、睨みつけられると迫力がすごい。

「あの子と付き合ってんのか」
「全然! ここがあの子の家で、あっちが俺んち! 家が隣同士の幼なじみなだけです!」
「幼なじみ? そんなことある?」
「まじで! ただの幼なじみです!」
「お前、名前は?」
「は……葉山(はやま)琥太郎(こたろう)……」

怖い怖い怖い。
目黒瑠偉は、動くなと目で釘を刺して俺んちの表札を見に行った。

「ごめんごめん! 俺、目黒瑠偉! 君と友達になりたい!」
「え? なんで?」
「俺、今日あの子が花束渡されてるとこ偶然見かけて、一目惚れしちゃったの」
「一目惚れ?! 目黒瑠偉が?!」
「琥太郎か、あだ名はコタだな。コタ! 君も今日から目黒軍団の一員だ!」
「仲良くしような! コタ!」
「よろしく! コタ!」

目黒軍団三人が俺の肩をバシバシ叩いてくる。

仲良く?

嫌だよ。
この距離感の違い、できる気がしねえ!