おれとぼくの恋愛事情

 【琉生】
 
同窓会の案内が届き、行くか行かないか迷った。
 陽向は来ないだろう。
 マユにメッセージを送ると『行かない理由はない!』と返事があった。
 知り合いが行くなら行くか。
 こういう時は判断を他人任せにすると気が楽になる。
 
 同窓会当日。
 会場に入ると杉本たちが輪になって談笑していた。
 杉本が俺に気づき、手招きしている。
「琉生! 久しぶり!」
「杉本もな、元気か?」
「元気元気、お前、W大だろ?かわいい子紹介しろよ」
「相変わらずだな、お前……」
「お前はモテるからよりどりみどりだろうけどさ、俺は……」
 杉本たちと会話をしながら、マユを探した。
 入り口の近くで知り合いを探しているようだ。
 そう思っていたら、高円寺沙羅がマユに歩み寄り、何やら二人で会話している。
 あの二人、仲良くないよな?
 大学も別々だし、なんで?
 高円寺沙羅が立ち去ったところで、杉本たちに「悪い、ちょっとマユに挨拶してくるわ」と言って、グループから外れた。
 マユに歩み寄ると、マユは白い封筒を持っていて、それを俺に押し付けてきた。
「白城君が今住んでる住所だって」
「高円寺が?」
「うん。まだ本気だったら渡してって」
 陽向……。
 久しぶりに陽向の気配に触れて、少し動揺した。
「琉生さぁ、まだ好きなんでしょ?」
「……悪いかよ」
「大学でもあたしの顔を見るたび、ため息ついて。白城君のこと、思い出しちゃうんでしょ?」
「……」
「いつまであたしにため息聞かせる気だ! 行ってこい! ボストンまで!!」
 マユは俺の背後に回り、軽く背中を押した。
 陽向に会いたい。
 ずっと心の奥にしまっていた感情が溢れ出した。
「ありがとな! 行ってくるわ!!」
 俺は白い封筒を握りしめたまま、会場を飛び出していた。
 
 三日後。
 陽向の住所が書かれた紙を手にボストンに降り立っていた。
 タクシーでその住所に向かう。
「ここか……」
 歴史を感じる立派なマンションだった。
 陽向の部屋の前に立ち、インターホンを押す。
「……Hello?」
 聞きたかった声が、海を越えた先で俺を出迎えてくれた。