おれとぼくの恋愛事情

 二週間前。
 放課後、沙羅と帰ろうとしているところに間宮マユが立ちはだかった。
 「お願いします!新聞部を助けると思って取材を受けてください!!」とまるで告白をするかのような切羽詰まった顔が、僕の視界をふさいだ。
 隣にいた沙羅は「もちろん断るわよね?」と即座に言った。
 沙羅は僕をアイドルとか芸能人のように騒ぎ立てる女の子たちをよく思っていない。
 「陽向の顔が目当てなんでしょ」と、ちょっと小ばかにしているところがある。
 ある意味、沙羅は僕から女の子たちを遠ざけるための存在でもある。
 実際、沙羅はモデル並みのスタイルだし、シャープな美しさを持っている。
 彼女は存在自体に迫力がある。
 だから間宮マユの依頼を沙羅が断れば、それは断ったことになるはずだったのだが……。
 
 ところが、間宮マユは他の女の子たちとは違った反応を見せた。
 目の前にいる間宮マユは声を震わせながら言った。
「私は高円寺さんには聞いていない。白城くんにお願いしている。断るのであれば、白城くんの口から聞きたい」
 あろうことか、沙羅の言葉を退けたのだ。
「なっ……」
 沙羅は驚いたように目を見開き、眉間にしわを寄せた。口元に力が入り、小刻みに震えている。
 沙羅の美しい二重の目が間宮マユをにらんだ。
 その空気を変えたくて、僕は口を開いた。
「ちなみに、インタビューを受けるのは僕一人なの?」
「そうだよね。大事なことを言い忘れていた。サッカー部の清水琉生とペアの特集を組もうと思っているんだ。あっちは体育会系。白城くんは文科系。ブラックアンドホワイト、みたいな」