おれとぼくの恋愛事情

 校内新聞のアンケートの集計が終わったとのことで、マユから「放課後、美術室に来て」と呼び出された。

 美術室のドアを開けると、陽向が画集を開いていた。
「あれ?陽向?なんで?」
「間宮さんに呼び出されたんだ。放課後ここにって」
「俺も一緒」
 陽向と目を合わせるなり、俺たちは笑った。
 その時、廊下から騒がしい足音が聞こえてきた。
「ごめんなさい!呼び出した私が遅れるなんて!!」
 マユが息を切らせながら美術室に駆け込んできた。
「おいおい、大丈夫かよ」
 マユの顔には大粒の汗が浮かび、ゼーゼーと呼吸もままならない様子だった。
 陽向も心配そうな顔でマユを見ていた。
「だ、だ、だ、大丈夫……」
 マユはゼーゼーと肩で息をしている。

 少しすると落ち着いたのか、マユは俺たちの顔を見ると声を上げた。
「校内アンケートの結果が出ました!満足度80%を超えました!!」
 マユは万歳をした。
 俺と陽向は拍手し、「よかったな」「よかったね、間宮さん」とマユの勝利を祝った。
「で、お二人にはかなり協力してもらったので、私からプレゼント」
 そう言うと、リュックからリボンをかけた包みを二つ取り出し、俺たちに渡した。
「何?これ?」
 思わずマユに聞いた。
「ほんの気持ちよ。家で開けてね」
 陽向と俺は顔を見合わせた。

 家に帰ってマユからもらった包みを開けると、それは校内新聞の一面を飾った写真がフォトフレームに入ったものだった。
 マユらしい。
 俺は勉強机に、その写真を飾った。
 写真の中の陽向は、相変わらず王子様みたいな顔でこちらを見ている。
 その肩に腕を回している俺は、耳まで赤くしていた。

 恥ずかしい。
 でも、悪くない。

 この写真を見るたびに、あの日の美術室の空気まで思い出せる気がした。