おれとぼくの恋愛事情

 校内新聞が発行され、俺たち二人の存在は一気に全校生徒に知れ渡った。
 一番の変化は陽向のファンだ。
 プロムナードを歩く陽向をひと目見ようと、女子全員と言っていいほどの人数が集まっていた。
「白城くーーーーん!!」
「キャー!こっち向いて」

 なんと、白城の推し活と称して陽向の写真と名前をデコった団扇を掲げている女子もいた。
 そのうちペンライトやハチマキでも作り出すんじゃないだろうか。
 陽向のいるところには必ず女子がいる、といった様子で、トイレにまでついてくる女子もいたとのことで、教師から厳重注意がなされた。
 陽向はいつものポーカーフェイスで、女子たちの騒ぎに左右される様子は見せなかったが、何より厳しい顔つきになったのは高円寺沙羅だ。
 彼女もおそらく新聞は読んだだろう。
 マユは、彼女が新聞を読んでいるところを見かけたらしい。眉間にしわを寄せ近寄りがたい空気を出していたと言っていた。
 今日も陽向の隣にいるが、騒ぎ立てる女子の人数が増えたことが癇に障るのか、クールビューティーと言われる沙羅の顔が不機嫌なのはすぐにわかった。

 マユの新聞の効果は目を見張るほどで、満足度アンケートを取るまでもなく、80%を超えるのは確実だった。
 なぜなら、女子だけではなく、男子にも白城は影響を与えたからだ。
 白城のようになりたいと、美容に気を遣う男子が増えた。
 眉を整えたり、スキンケアしたりするくらいだが。
「なあ、何の化粧水使ってる?」
「俺、デパコスの〇ニーク。校内新聞見せたら、母ちゃんが買ってきた」
「お前の母ちゃん、影響受けまくりだな」
「あの二人の写真見たら、普通顔の俺が少しでもマシになるようにしたいんだとさ」
「ハハハッ」
 そんな会話もチラホラ聞こえるようになってきた。

 新聞の一面には、陽向の背後から俺が腕を回している写真が載っている。俺にとっては恥ずかしくて仕方ない写真でも、誰かの役には立っているようだった。
 マユの実力、恐るべし。
 一面をめくると、インタビュー記事が掲載されているが、俺たちの写真がメインで載っていた。
 本来、トピックとして取り上げなくてはならない学校行事の様子などは一切ない。
 こないだバレー部が地区大会で優勝したと学校全体で喜んでいたが、それに関しては最後のページに小さく書かれているだけだった。
 バレー部の奴ら、扱いの小ささに怒り出すんじゃなかろうか。

 一面を改めて見る。
 陽向の王子様然とした表情は男の俺でも見惚れてしまう。
 色素の薄い目は、見る者を射抜くようで、一度見たら目を離せなくなる。
 そんな魅力をもっているのが陽向なのだ。
 そんな陽向に後ろから腕を回し、カメラ目線の俺。
 見ているだけで恥ずかしさがこみ上げて、耳まで熱くなった。
 とは言え、撮影をしたのは四月だったから、もう三か月も経つのか。
 陽向と初めて向き合ったあの日が懐かしく感じた。