おれとぼくの恋愛事情

 こうして二人で校門を出るのは先日小林に見つかって以来だった。
 自宅に着くと、俺の部屋に陽向を通す。
 部屋には、ベッドと小学校から使っている学習机があり、床には筋トレの道具が置かれ、サッカーのユニフォームがハンガーにかけられている。
「琉生っぽい」
 陽向がクスッと笑った。
「お茶、とりに行ってくるわ。原稿読んでて」
「うん。ありがとう」
 陽向はベッドに腰かけると原稿を読み始めた。

 今日は母親が家にいた。
 キッチンに入るなり、母親が目をキラッキラに輝かせてこっちを見た。
 俺に駆け寄るなり小声で聞いてきた。
「琉生!誰、あのきれいな子」
「友達」
「あんたが友達を家に呼ぶなんて、めずらしいじゃない」
「ちょっとやることがあって呼んだの。うるさいな」
「ふうん」
 母親は何か疑わしそうに、俺がお茶をコップに注ぐ姿を眺めていた。
「じゃ、部屋に来るなよ!」
「はい、はい」
 俺は速攻で母親から離れた。
 
 部屋に戻ると陽向は原稿に夢中になっていた。
 陽向の隣に腰を下ろす。
「記事、どうだ?」
「いい感じなんじゃないかな。誤字がちょっとあったから直しておいた」
 陽向の持っている原稿を覗き込んだ。
 間違った字に二重線を引きその右隣に陽向のきれいな字が書かれていた。
 さすが学年トップ5に入るだけのことがある。
 何をやらせても軽々とこなす。
「それにしても、間宮さん、こういう才能あったんだね」
「あいつは中学から高校入ったら新聞部に入るって意気込んでたからな。新聞部があるのはこの学校しかなくて、相当頑張ったらしい。猛勉強したって言ってた」
 「なるほどね。レイアウトとか研究してる感じだよね。それに、一面の写真。こんなポーズさせられるとは思ってもいなかった」
 陽向はクスッと笑った。
 陽向は写真を撮られ慣れているせいか、撮影時も恥ずかしさはなかったようだが、俺は初めてのこともあり、なかなかうまくポーズが取れなかった。
 陽向のリードがあって、どうにか見せられるレベルにまでなっていったのだが。
 陽向の表情と比べると俺のは固さが残る。
 そんな調子で撮った写真の出来栄えをマユは一番に見せてくれたのだが……。
 俺は一面の写真を見た時は綺麗とかそういうのよりも恥ずかしさの方が強かった。
「琉生っぽさが出てる。情熱的な視線とか」
「白城君の柔らかさと琉生の熱っぽさ、めっちゃイイ」
「白城君と琉生、お互いファンがいるからね。新たな一面が見られて喜びそうじゃない?今回の満足度調査はいい結果出そう!」
 マユの顔の筋肉は緩みっぱなしだった。しまいには「あぁ、私も白城君のファンになりそう……」と目を輝かせて遠くを見る始末だった。
 思わず「俺じゃないのかよ?!」とツッコミを入れるも聞こえる様子もなかった。
 そんな風にマユにほだされていくうちに写真の出来に納得していった。