おれとぼくの恋愛事情

 マユから2週間前に懇願された。
 「お願い!新聞部を助けると思って取材を受けてください!!」
 身体を90度よりも深く下げ、手を合わせている。
 マユがこんなにも真剣に依頼をしてきたのはあの時以来だった。

 マユは中学から写真を趣味で始め、イベントごとに自分の撮った写真を欲しい人間にあげていた。
 そこから金脈を見つけたのだろう。
 彼女は高校に入り新聞部に入った。
 そうすれば思う存分写真が撮れる、そんな軽い動機なのかと思ったら、違った。
 写真を撮るための大義名分が欲しかったのだ。
 俺は中学からそこそこモテる方だった。(自分でいうのも照れるのだが)
 ファンと呼ばれる女の子が十数人、グラウンドで俺の練習している姿を見ては「キャー」という黄色い声をあげることに慣れている。
 ファンの子からもらったマスコットを全部バッグにつけていたら十個以上になり、重すぎて一度外したことがある。
 激しく非難されたので、次の日、結局また全部つけ直した。
 高校に入ってもそんなファンの子たちはいた。
 マユはファンの子たちに目を付けた。
 新聞部という看板を背負って、俺の写真を撮り、ファンの子たちに、ほぼ原価とは思えない値段で売り始めたのだ。
 思いの他写真が売れたようで、そこでマユは気づいた。
 俺に許可を得ていないことに……。
 その時も今回と同じように切羽詰まった様子でお願いされたのだ。
 「琉生様!お願いします。もうご存知だと思いますが、あなた様の写真を販売させてください!!」
 「やだ」
 「そこを何とか……」
 マユが涙ぐんだ表情で俺を見上げた。
 たとえマユと言えども、女子に涙ぐまれると弱い。
 俺はマユを見下ろし、口をへの字に曲げた。
 「お願いします!!」
 マユが張り裂けんばかりの声を上げ、膝に頭がつかんばかりに身体を曲げる。
「嫌だけどわかったよ。ただし……」
 そこで俺は二つの提案をした。
 
 1.写真の売り上げは新聞部の部費にしろ(新聞部あっての活動だろ?)
 2.販売する前に俺に見せろ(肖像権は俺にある)