おれとぼくの恋愛事情

「琉生、琉生、琉生!」
「なんだよ、うるせえなぁ」
 毎度お騒がせなマユが俺の名前を連呼しながら廊下の向こうから全力ダッシュしてくる。
「できたの!先日の取材記事が!!まずは見てもらおうと思って」
「お、おう。ずいぶん気合入ってんな」
「あったり前よ!部活がかかってるんだから。部活がなくなったら、あたしの収入源もなくなるじゃない」
 忘れていたがそうだった。
 俺の写真を販売してその売り上げを部費に充てていたのだった。
 そういえば、最近は俺に販売する写真の確認をしてこないが、勝手に販売しているのだろうか?
 マユは勘がいい。
 俺の言わんとしていることを察知したらしく「最近は新作撮ってないの。こっちの編集が忙しくてさ」と、言った。
 マユはマユなりに必死に頑張っているらしい。
「そういえば、白城君見かけた?」
「いや、別クラスだし。そんな毎日チェックしてねーよ」
「そっか……。どこ探してもいなくてさ。白城君にもチェックしてほしいんだけどなぁ」
 こういう印刷物を作る人間としては当たり前なのだろうが、マユは、こういうところが律儀だ。
 関係者全員に確認を取ってから発行する。
 高校生なのに肝心なところは手を抜かない。
 俺がマユを信頼している理由はそこにある。
 彼女は人との約束は必ず守るのだ。

「白城に会ったら原稿渡しておこうか?」
「助かるー!じゃ、これ、お願い」
 マユがA4用紙5枚が入ったクリアファイルを渡した。
 何となく陽向はあそこにいるような気がする。
 渡り廊下を歩き、美術室に向かった。