桜の葉も赤く色づき、一枚、また一枚と枝から去っていく。
本を顔の上に乗せて、桜の木の下に寝転がっている歩に、また一枚葉が舞い落ちた。
「ねえ、歩」
わたしが声をかけると、歩は本をゆっくりずらして、ちらりとわたしを見た。
「なに?」
「この前、デンドロカカリヤ、読んでみたよ」
すると、上半身を起こして、
「どうだった?」
と尋ねるので、
「不思議な話だった」
と正直に告げた。
それを聞いて、歩は笑った。
「あの不思議な感じがいいんじゃない」
そう言って立ち上がると、柄だらけのジーパンについた落ち葉を払った。
「帰ろっか」
「うん」
わたしは歩の腕にそっと自分の腕を絡ませた。
人と同じ服が嫌いな歩は、相変わらず奇抜なファッションだった。
だけど、歩の隣を歩くのは、以前ほど恥ずかしくなくなった。
歩は、歩だから。
わたしが選んだ、たったひとりの人だから。
歩の腕に寄り添うと、彼はそよ風のような微笑みを浮かべて、わたしの頭をそっと撫でた。
完
本を顔の上に乗せて、桜の木の下に寝転がっている歩に、また一枚葉が舞い落ちた。
「ねえ、歩」
わたしが声をかけると、歩は本をゆっくりずらして、ちらりとわたしを見た。
「なに?」
「この前、デンドロカカリヤ、読んでみたよ」
すると、上半身を起こして、
「どうだった?」
と尋ねるので、
「不思議な話だった」
と正直に告げた。
それを聞いて、歩は笑った。
「あの不思議な感じがいいんじゃない」
そう言って立ち上がると、柄だらけのジーパンについた落ち葉を払った。
「帰ろっか」
「うん」
わたしは歩の腕にそっと自分の腕を絡ませた。
人と同じ服が嫌いな歩は、相変わらず奇抜なファッションだった。
だけど、歩の隣を歩くのは、以前ほど恥ずかしくなくなった。
歩は、歩だから。
わたしが選んだ、たったひとりの人だから。
歩の腕に寄り添うと、彼はそよ風のような微笑みを浮かべて、わたしの頭をそっと撫でた。
完



