高校という場所は、巨大な反応容器(フラスコ)のようなものだ。
多種多様な分子___もとい、個性を持った人間という元素が押し込められ、互いに衝突し、結合し、時には熱を発しながら新しい関係性を合成していく。
俺、瀬尾はその反応系を少し離れた特等席から観測するのが趣味の、どこにでもいる(と自分では思っている)高校二年男子だ。
所属は理系特進コース。好きな科目は化学。座右の銘は「すべての感情は化学反応式で記述できる」である。
俺は別に人間観察を趣味と喧伝しているわけではないが、どうにも周りの人間が発する微小なパラメータの変化に目がいってしまう。
体温の上昇に伴う毛細血管の拡張、視線の動線、緊張による皮膚電気抵抗の変化。勘が良いと言われればそれまでだが、俺からすれば分子の挙動を見ているのと大差ない。
ただ、みんながそれを「恋」とか「青春」とかいう曖昧な定性的言葉で片付けているのが、少々気持ち悪いだけだ。
そして今、俺の目の前で、極めて興味深い非平衡反応が進行しようとしていた。
多種多様な分子___もとい、個性を持った人間という元素が押し込められ、互いに衝突し、結合し、時には熱を発しながら新しい関係性を合成していく。
俺、瀬尾はその反応系を少し離れた特等席から観測するのが趣味の、どこにでもいる(と自分では思っている)高校二年男子だ。
所属は理系特進コース。好きな科目は化学。座右の銘は「すべての感情は化学反応式で記述できる」である。
俺は別に人間観察を趣味と喧伝しているわけではないが、どうにも周りの人間が発する微小なパラメータの変化に目がいってしまう。
体温の上昇に伴う毛細血管の拡張、視線の動線、緊張による皮膚電気抵抗の変化。勘が良いと言われればそれまでだが、俺からすれば分子の挙動を見ているのと大差ない。
ただ、みんながそれを「恋」とか「青春」とかいう曖昧な定性的言葉で片付けているのが、少々気持ち悪いだけだ。
そして今、俺の目の前で、極めて興味深い非平衡反応が進行しようとしていた。


