走馬灯が止まらない!

算術の授業。
これやっぱり、あれだ。
算術と言いながら、やっているのは、いかに正確に話したことを聞き取って書き取れるか、っていう訓練でもあるんだな。

なぜなら、まったく同じ計算が、たまに出てくるんだから。

大半の問題は簡単。暗算でできちゃうくらい。
消費税環境下で生きてきた人間をナメてはいけない。

ただ、たまに意地悪な問題も出題される。
さすがに三桁同士のかけ算は、わたし、暗算できないよ。筆算使わないと。
周りも出題を聞いた途端に、え?っていう顔になってる。

問題が全てだされ、みんな一斉に解き始める。
わたしも悩んでる風で、問題を解く。
教官の視線をビンビンに感じる。
何?カンニングはしてないよ?

「はい、そこまで。では、1人1問ずつ問題と答えを読み上げてもらいます」

あ、これ。嫌な予感……。

1人ずつ読み上げていく。
この順番だと……、やっぱり…、計られた…。

「はい、では次、ルナさん」

クッ!ころせ!……まさにそんな気分。
「157✕329=………わかりま……」

瞬間、女性教官の目力が増す。
『嘘をつくな』
そう言っているのが、マジマジと伝わってくる。

「51,653……です」

あ!今、ニヤってしたよね!見えてるよ!
何だ、何が目的なのよ!
クソーッ!新作で、ドロドロの5角関係劇をしてやる!

そんなこんなで算術(?)の授業が終わった。

教官が教室をでると、すぐにクラスの子がやってきた。自分よりも優秀かと聞いていた子だ。

「あなた、すごいわね。計算具も使わないであんな問題とけるのね」

計算具?なにそれ。算盤みたいな?

「あ、えっと……紙に書いてなんとか……」

筆算を書き記したところを見せた。
もう、仕方ない。なんかそれっぽいことを言おう。

「実家が、狩りで生計を立ててるの、獲物とお金の計算で、こんな感じでやらされてて……」

マジマジと筆算を見られる。

「……今度、教えて。私は、マリアンヌ・シュライン、よろしくね」

おお、家名持ち!お貴族様かな?

「あ、はい。マリアンヌ様。よろしくお願いします…」

マリアンヌ様はニコッと笑う。
あ、かわいい。

「マリーでいいわよ、ルナ」

うぉぉぉぉ!ボッチ卒業の気配!!
愛称で呼ぶなんて、もう友達ってことでいいかな!

「おぅ、お前!頭いいな!顔も良いから、俺の仲間にしてやるよ」

ん?変な野郎がきたな。
今、友達ができるかどうかの瀬戸際なんだ。
どっかいけ、蛙も虫もいらんぞ。

「俺は侯爵家だからな!父様に言えば大概のことはできるからな!言う事を聞いておいた方がいいぞ!」

あぁ〜、こういうイベント、お約束だよねぇ……
リーンさんはこれが言いたかったのかぁ〜

さて、どうしてくれようか……