走馬灯が止まらない!

「隣の部屋の人みたいに、事務員になりたいんですけど……」

リーンさんが溶けるように机に項垂れる。

「それは無理そうだねぇ……。みんな手ぐすねひいてるのよぉ……。優秀さがはみ出してるからぁ……」

リーンさん、ホントに困ってるんだろうなぁ、机に突っ伏してグニャグニャになってる。

でも、何がいいって言われてもねぇ。
下手に背伸びしても後で後悔することは目に見えてるし。

だって、わたし、成長しないよね?
女子高生補正で今はダントツに成績よくても、きっとどこかで置いてかれる。

優秀っていうのは、成長しつづける人の事を言うんだよ。わたしとは違う。

あ!それでいいのか!
周りに紛れる環境ですごせば、周りが成長して追い抜いてくれるに違いない!

よし!その線でいこう!

「初等部でみんなと一緒に成長っていうのは……」

「学院の方針でねぇ…、半期毎の試験で上に上がっていくのね……高等部に上がるまでは。決まり上、初等部には……ねぇ……」

なるほど、初等部一発目の試験で越えてしまったのか、わたしは!!
最初に教えてよぉ!

「リーンさん、中等部ならいいの?」

リーンさんの動きが止まる。
顔見えないけど、細かな動きから思考しているのはわかる。

「中等部の一番下の子とも、3歳は離れてるけど……。ルナちゃんなら……いやいやいや……」

ああ、やっぱりそうか。
式典で、『救わない』とか言ってたけど、リーンさんはやっぱり優しい。
ちゃんと生徒の事を考えてくれる人なんだな。

「わたし、中等部でいいよ?みんな優秀なら、紛れて目立たなくなるし!そしたら、リーンさんのとこで事務員やらせてほしいな!」

リーンさんが顔だけあげてこっちを見てくる。
ゆるふわお姉さんが、子犬みたいになってて可愛い。好き!

「………。あはは……。ぶれないねぇ、ルナちゃん。じゃあ、中等部に通ってもらおうかな。何か困ったことがあったら、すぐにおねえさんに言ってね。人間関係とかは特に」

んん?人間関係?
イジメとか?あるのかな?
まぁ、いいよ。だてに女子高生を過ごしてないからね!その辺も履修済みだ!

リーンさんが起き上がり、手をたたく。
すぐに事務員さんがドアをあけた。

「ルナさんは、中等部に入ることになりました。中等部の教官を呼んできて下さい」

おお!切り替えはや!!
ゆるふわ子犬系お姉さんから、敏腕厳格教官に入れ替わったよ!カッコイイ!!

すぐ近くだったのか、事務員さんが教官を連れてきた。なんと、昨日寮に案内してくれた女性だ。

「では、私についてきてください、ルナさん」