走馬灯が止まらない!

カンギルの街から王都までは3日の道のりだった。
その間、着せ替え人形になるのを覚悟してたけど、そういう事にはならなかった。

さすがに馬車の中ではね。

その代わり、クラリッサ様から学院の事や、この国の常識なんてものをひたすら教えられた。
半分くらいは覚えられなかったけど。

クラリッサ様はホントに私の事を娘のように可愛がってくれる。無表情だけど。
あまりにも世話を焼いてくれるから、うっかり、ママって呼んでしまったら、目に見えて表現が柔らかくなった。

お付きの人が泣いてたよ。

そんなやりとりをしていたら、学院が休みの日のたびに、王都のグラナド邸に帰ってくるように厳命されてしまった。

ああ……、図書館ライフが……

そんなこんなで王都に着く。

王都自体はそこまで広くなかった。カンギルの街と同じくらいかな?
でも、格式というか、雰囲気は段違いだね。
どこのお店も高そう。
ていうか、露店がない。

ああ……放課後買い食いライフが……

その日はグラナド邸に泊まり、朝、クリストフとともに学院へ。
クリストフ、隣でウキウキするのはいいけど、二桁の足し算引き算、そろそろできるようになったのかね?
いきなり落第とかやめてよ?

重厚な門をくぐると、広場を中心に白い建物が立ち並んでいた。広場には同じ様に学院に入学するものなのか、略装を着た子供たちがキャッキャしてる。

初々しいねぇ、ってわたしも見た目は変わらんけどね。

この年齢では、貴族と従者でカリキュラムが変わるということはないらしく、まとめてひとつの建物に入っていく。
チッ!

ホールみたいな講義室に入っていくと、チラチラとこちらを見てくる視線を感じる。
わたしじゃないよね?
ここで見ても金眼は珍しい。
だからクリストフ狙いかな。
よし!ドンドン狙え、女子共!

席に座ると間もなく、壇上に一人の女性が立った。

ん?んん!?
あれって……。

リーンさんだよね!?

「皆さん、ようこそ王都学院へ。今日からあなた達には王国最高の教育を受けてもらいます。年齢も身分も家柄も関係ありません。ただ優秀であること、それがここでの立場となります。
心しておきなさい」

……なんか雰囲気違う……、ゆるふわお姉さんじゃなくなってる……違う人?双子とか?

「私の名前は、リーン・フェルドネ。あなた達を担当します。ただし救いはしません。しっかりとついて来なさい」

やっぱりリーンさんだ。
凄い……なんか……圧倒された……

「では、それぞれのクラス毎に指定された教室へ行きなさい、そこで現時点での能力を測ります」

周りも同じらしい。わんぱくそうな男の子も気圧されて静かになっちゃってるよ?

一斉にみんなが動き始めた。

ちらっと、リーンさんの方を見ると、少し表情が揺れてる。虚勢、忍耐、安堵…、かな?

先生やるのも大変なんだねぇ。