走馬灯が止まらない!

街の中は賑やか!
もといた村とも、途中経由した街とも大違い。
日が落ちかけてる時間なのに、歩く人が多い!
訪れる人狙いの屋台が立ち並んで、香ばしい匂いを漂わせている。
みんな何かを買っては食べて、飲み、盛り上がってるのに、物騒な気配はなく、ひたすら陽気だ。
清潔に関する意識が高いのか、食べ物を落とすこともほとんどなく、お零れを狙う野良猫が物足りなさげな表情を浮かべている。

まさしくお祭りの雰囲気!
これが日常なのかな?毎日がお祭りだね!
クレープとかないかな!食べたい!
たこ焼き、りんご飴、ベビーカステラ〜♪
どこかにないかな!走馬灯全開で探すぞっ!

そんな風に窓から覗いてると、マトモ剣士が話しかけてきた。

「嬢ちゃん、賑やかだろ?ここはカンギルって街だ。学院に行く準備ができるまではここで暮らす事になるからな。出歩ける時間があったら、この辺と、広場付近の屋台はお勧めだよ」

おお!是非歩き回りたい!
買い食いしたい!ポケットに魔石がヤマモリだからね!金はあるぞ!

「美少女剣士、あそこの屋台は、売り子がお前くらいの女の子がやっててな、とてもいい店だぞ」

お前もう、世のため、少女達の安全の為、むさ苦しい最前線で活躍してろよ。適材適所だ。

一際賑やかな広場を抜け、大きい御屋敷についた。
門を抜け、玄関の前までくると馬車が止まる。

「ルナちゃんや、着いたよ。ここで馬車おりてね」
ナイスミドル御者さん、ここまでありがとう。優しいおじさま、寂しくなったり、辛い目にあったら構ってほしい。

「嬢ちゃん、俺らはここまでだ。また学院に行く時に同行できたらいいな!じゃあ、マクスさん、あとはよろしくお願いします」

およ?ナイスミドル御者さんの方が立場上?
マクスってなんかカッコいい名前。

「嬢ちゃん、俺らはロリアンとノーマンだ。今度会ったときは名前で呼んでくれな!ハッハッ」

おおぅ、ロリアン……ロリ……
名は体を表す……。

「あ…うん、護衛ありがとう、ノーマンさん」

「美少女剣士!やっと名前を呼んでくれたな!嬉しいぞ!まぁ、変態と呼んでくれても構わないが」

ん?ちょっと待て。お前には話しかけてない。

「嬢ちゃん、俺はロリアンな。こっちの変態がノーマン」

……名前、逆にしてもらえる?
紛らわしい。次会ったとき絶対間違える自信しかないよ。

釈然としない顔をしている私をつれてマクスさんは玄関の扉を開けた。

磨き上げられた石の床
高い天井と、2階へ緩やかなカーブを描く階段
数々の調度品が家主の地位を示しているかのよう

そこには領主様と、奥様らしき女性、金髪少年、あとはたくさんの使用人が並んでいた。

「長旅ご苦労。ルナ、今日から暫くここで過ごして貰うよ」

領主様の言葉。

金髪少年がニコニコしてる。
こっちへ駆け出したいのを、必死に抑えているみたい。
いや、少年。わたしにはその衝動見えてるからね?わたしに何か求められても困るよ?平民だよ?

「それで、マクス。道中どうであった?ルナは」

へ?

「はい、旦那様。ルナは、驚く程の腕前です。ノーマンと並んで戦える程に。それに、かなり聡明でもあります。この年齢にして、王国紀から王政の正統性を読みとっています」

ええ?マクスさん?待って?わたしは妄想しただけよ?

「騎士どころか、王族の近衛、さらには専属も狙える器です」

オウゾクノコノエ?なにそれ?美味しいの?
いや、わかってるけど。
少なくとも事務職でないことくらいは

「それは素晴らしい。グラナド家の格も上がろうというものだ」

領主様がニヤリと笑った。