走馬灯が止まらない!

なんだよ、この変態、凄腕じゃん!
絶対モブだと思ってたのにぃ!

ていうか、1人で片付けられたんじゃないの?こいつ!野宿に持ち込むために敢えて倒さないことにしたな!

なんてやつだ!でも助かった!

「変態さん、そっちの3匹お願いしていい?」

見るからに余裕たっぷりの態度が鼻につくわー!
「美少女からの罵倒……、フヒ!もちろんだとも、もっと貶してくれていいよ!」

何がもちろんなんだ!?
とりあえず、ここを片付けよう。
変態よ去れ!集中ゥ!

目の前の3匹は、仲間の数が減ったことで飛びかかるのを躊躇しているようだ。

今の私なら、急に動けないタイミングも見えるんだぞ!

左の一匹の重心が上がったところで、兼定を振り下ろす。重心を落とせない、つまり踏ん張れないから回避もできない。
軌道を細かく調整しながら頭に叩き込む。
視界の端に剣閃が走る。

続いて二匹目。

飛びかかってきた足を払う。
地面に転がるタイミングで突き下ろす。

最後!

下から這うように近づく。
動いた。前へ。
足を止め横にずれる。すれ違う狼。
着地と同時にその頭に後ろから叩き込んだ。

魔石が落ちる音。

ふぅ、おわった。
ちょっと無理しちゃった。身体が痛い。

振り返ると、変態剣士が私を見てニヤついてる。3匹はとうに始末したようだ。
リーチと筋力の差かなぁ。悔しい。
どさくさで抱きついてきそうなモーションを示したから、即座に兼定で牽制した。

さてと。

壊れた馬車の方に向かう。
中年の男性とたぶん15〜16くらいのおねえさん。ふんわりとした雰囲気だけど、さすがに襲われたあとだからか、泣きそうな険しい顔。
可愛らしい顔が台無しだぞ!

「ふむ……。あれくらいも……良(略)」

ぶれねぇな!おまえは!

「あのー、片付けましたよー。だいじょうぶですか?」

努めて幼く、怖がらないように声をかける。
女児には警戒しないよね!

中年男性が顔を上げ、私を見て言う。
「あ、あの、魔人様か、精霊様の類いでしょうか……」

誰が魔人か!人間の美少女だぞ!

話してると、どうやらこの街の商人らしく、名前をポルタさんというらしい。女性はリーンさん。家族とかではなく、別の街から便乗してきたとのこと。散々な目にあったね。
行商から戻ってきたときに遭遇してしまったそうだ。

話し込んでたらナイスミドル御者とマトモ剣士もきた。

宿を探すっていったら、お礼に泊めてくれるってさ!しかも個室!!
やった!!

ダメ元で、甘いお菓子もほしいなーって呟いてみたら、笑いながら出してくれるって!

やっほう!甘味だ甘味!
個室の宿を確保して甘味付き!

人助けした甲斐があるってもんだね!