strawberry * strawberry



「お母さんも一緒に」と瑛里華が言ってくれたので、3人で女子会?みたいになった。
だから、瑛里華と2人きりになったのは、お風呂にも入ってパジャマになって、わたしの部屋に行ってからだった。
最初はモフモフサンドの話なんかをしていたけれど、学校の話になって……今まで話したことなかった話なんかをした。


電気を消してお布団に入ってから、瑛里華が言った。

「仁木さんと谷さんがね、一緒に試験の勉強しようって誘ってくれた」

瑛里華の声は嬉しそうだった。

「良かったね」
「末田さんも……フラぺチーノの新作出たら食べに行こうって……」
「良かった」
「真優がいたから」
「それは違うよー」
「真優がいたからだった……」
「絶対に違うっ」
「……一緒のお布団に入ってもいい?」
「いいよー。わたし寝相悪いから、夜中に蹴っても許してくれるなら」
「それは……許せるかわかんないけど……」

瑛里華がわたしの布団に入って来て、腕にしがみついた。

「これからもっと友達増えるよ」
「うん……」
「剣菱さんはどうなの? すっごいお似合いだったよ?」
「知らないっ。その話はしないって言ったよね?」
「はーい」

瑛里華が静かになったので、寝ちゃったのかと思って横を向くと、薄明りの中で泣いていた。

「泣かないでよぉ」

そう言いながら、わたしも泣いていた。

「だって……」



文化祭が終わるとすぐに中間考査。
イベントとテストはサンドイッチみたい。

一翔くんと一緒に勉強して、一緒に帰って、これまでと変わらない毎日があっという間に時間が過ぎていく。
もっともっとゆっくりしていたいのに。


「今はどこ?」

一翔くんにそう言われて、ぼーっとしていた自分に気がついた。

「ごめんなさい。ぼーっとしてましたっ……何の話?」
「お父さんの出張の話してた」
「あー、うん……1回帰って来たけど、すぐにまた行っちゃった」
「……何か心配ごとでもある?」
「どうして?」
「最近よくぼんやりしてる」
「試験が嫌だからだよ」
「終わったら冬休みだから遊べるよ?」
「そうだね」
「その前に3者面談があるけど」
「うん……」
「やっぱりどこか変なんだけど?」
「今日も英会話があると思うと、めんどーだなーって、つい考えちゃって。試験期間中も休ませてもらえなかったし」


この頃にはもう誰もわたしのことを「じゃない方」って呼ぶ人はいなくなってて、代わりに「葉月の彼女」って呼ぶ人が増えた。

でも逆はなくて、一翔くんが「藤代の彼氏」って言われるのは聞いたことがない。


「この間ね、向こうで休みの日に『観光に行った』って送ってきた写真が、夏休みに瑛里華が行ったところと同じ場所で、しかも同じ角度だったから笑っちゃった」
「見せてよ」
「いいよー」

瑛里華の写真とお父さんの写真を交互に見せると、一翔くんも笑った。

「本当に同じ角度ってレアい」
「でしょー」


なんでもない毎日が楽しくて、楽しくて、このまま終わらなければいいのに、って思ってばかりいた。


「冬休みに京都の太秦村に行くんだ」
「もしかして?」
「そう、ニチカが行きたいって」
「本当に好きなんだね」
「ちょうど新しく時代劇がテレビで始まるのも楽しみにしてる」


毎日、「今日じゃないとだめな話」みたいなのじゃなくて、他人から見たらきっとくだらない話ばかりしてた。

だってずっとこのままがいい。