青葉高校は2学期制だから、前期の終業式は10月にある。
だから、長い夏休みを前にしてもこれといって何かあるわけではなく(宿題は予想以上にたくさん出たけど)、HRで担任の木崎先生から「明日から長期休みですが羽目を外さないように」と、簡単な注意があっただけだった。
数学はぎりぎりだったけれど補習にひっかかることもなかったので、夏休みはまるまる自由。
末田さんの提案で、学校の帰りに女子だけでカラオケに行くことになった。
「あのね、カラオケ初めて」
瑛里華が嬉しそうな顔をする。
「真優は何を歌うの?」
「わたし? わたしは――」
カラオケは嫌いじゃないけど歌はちょっと残念な感じなので、いつも好きな曲と歌う歌が違う。
でも、みんなで盛り上がるのは好き。
葉月くんは池田くんたちとスポーツセンターへ行ってサッカーをすると言っていた。
夜、部屋で動画を見ていると、画面にメッセージが表示された。
<今、電話していい?>
葉月くんのアイコンは野球選手のユニフォーム。
<大丈夫>
返信と同時に着信音が鳴った。
ベッドに寝転んでいたのできちんと座り直してから、「応答する」をタップした。
「何して――わぁっ!」
なんだろう?
「ごめん、一回切る」
電話が切れた。
そのまま待っていると、しばらくしてまた電話がかかってきた。
「さっきはごめん。ニチカが牛乳こぼしたから」
「もういいの?」
「服も着替えさせたし、こぼしたやつも拭いた。今は好きなテレビが始まったから見てる」
「何見てるの?」
「MHKの時代劇」
「しぶいね」
付き合い始めてわかったことは、葉月くんはよく弟と一緒にいるということ。夜は特に一緒にいることが多い。
そして、葉月くんの両親は働いているから、ニチカくんは幼稚園ではなく、保育園に通っていて、時々葉月くんがお迎えに行っていることも知った。
「ニチカは夏休みがないから、家にいるのは日曜だけなんだ。だから家に来るの日曜でもいい?」
「迷惑じゃない?」
「父さんは仕事で朝からいないし、母さんは午後から仕事に行くから、ほとんどいないよ」
葉月くんのところは、2人とも日曜日は仕事なんだ。?うちはお父さんもお母さんも土日が休みだから家にいる。
「ニチカがいるし、2人きりじゃないから!」
わたしが黙ったせいか、葉月くんが慌てたように付け加えた。
「ニチカくんに会いに行くんだから、ニチカくんいるのわかってるよ?」
「あ……なんか……ごめん」
「うん?」
その後、待ち合わせの時間や場所を決めて、電話を切った。
家に行くならお土産とか持って行った方がいいよね?
何がいいのかな? 和菓子? 洋菓子? まさか……手作り?
スマホのブラウザを立ち上げ「彼氏の家 遊びに行く」で検索する。
検索結果を見て……
葉月くんの言った意味をようやく理解した。
恥ずかしくなって、すぐに閉じた。
そして、今度はキーワードに「高校生」をたして、検索した。それで探していた答えを見つけることが出来た。


