一緒に帰ろうと約束してたのに、気づいたら瑛里華はいなくて、席にはリュックだけがぽつんと残っている。
それを見ていたら、谷さんが教えてくれた。
「堀北さんならさっきゴミ捨て場にいたよ?」
ゴミ捨て場?
何でだろう?
掃除当番でもないのに。
それで、ゴミ捨て場に行ってみたけど、瑛里華はいなかった。
探しながら戻るのに、普段は通らない校舎の裏の花壇の方を遠回りして教室に向かっていたら、誰かの話声が聞こえた。
「何ごみ捨て場から拾ってんの? 汚なーい」
「他の物だったら我慢するけど、これだけは許せない!」
「何言ってんの? わたしらがやったって言うの?」
「ノート捨てたのだってそうでしょ? 取るの見たから」
「だから……何よ」
「わたし、新見くんのこと何とも思ってないのに」
「何よそれ! あんたからちょっかい出したくせに!」
「出してない」
「嘘よ。男にいい顔してさぁ」
「……あたし、中学からずっと新見くんのこと好きだったのに……堀北さんのせいでフラれたんだから……」
「わたしは何もしてない……」
え……何これ……
思い出した。
この子たち、バーベキューの時、洗い場で瑛里華の悪口言ってた子たちだ。
「3人で1人に卑怯じゃない!」
瑛里華を庇う様に前に飛び出した。
「あんた、関係ないでしょ」
「関係ある! わたしは瑛里華の友達だから!」
「あんただって利用されてるだけよ」
「瑛里華はそんなことしない!」
「真優、もういいよ」
瑛里華がわたしの腕を掴んだ。
「うっざ!」
「バカらしー」
「最悪」
3人がいなくなるまで、瑛里華はずっとわたしの腕を掴んでいた。
「瑛里華、先生に言いに行こ!」
「いい。言わなくていい」
「どうして? 一方的にひどいことされたんだよ?」
「本当に大丈夫。無視してればおさまるんだから」
「瑛里華、こういうの……もしかして初めてじゃないの?」
「……真優には……知られたくなかったなぁ」
瑛里華は泣いてるのに笑顔を見せた。
その手には、猫のキーホルダーを握りしめている。
猫がエビフライの被り物をしていたりするこのシリーズは、わたしのお気に入りで、そのキーホルダーは遅延した電車を待つ間に駅前のゲーセンで、わたしがとったお揃いのやつ。


