僕と君と廻る庭


 二人の青年は庭を歩いていた。
「この木、すっごい大きくなったね」
 一人がそう言って上を見上げる。
 青年が見上げた木は、二人が居る庭の中でもひと際目立つ、とても大きな木へと成長していた。
「ねぇねぇ、ちょっと登ってみようか」
「えぇっ!?危なくない?」
「ゆっくり登れば大丈夫だよ。
 それにほら。
 木の(みき)からまるで螺旋階段(らせんかいだん)みたいに枝が生えてる」
 そう言って青年が指を差した先には、太く、頑丈そうな枝が点々と生えていた。
「うーん…滑り落ちないでよ?」
「君こそ!」
 そう言って二人はゆっくり、一歩ずつ慎重にその枝を足場に登って行った。
 暫くグルグルと木の幹を伝っていくと、気付けば庭を見渡せそうな程の高さまで登っていた。
「ちょっと………高く上り過ぎたかな?」
「うん…帰りが怖いね………」
 二人はそう言いながらその木の中でも一番太い枝へと乗った。
 それは、そのまま寝転がれるほどの大きな太さで、何故か枝の上もやや平になる形に歪んでいた。
 まるで、初めから二人が座れるようにしたかの様に………。
「………この庭も随分広くなったんだね」
 一人がそう言うと。
 もう一人も静かに頷いて答えた。
 二人が眺めるその先にはたくさんの木々。
 しかし不思議な事に、ある木は沢山の新緑(しんりょく)の葉をつけ、ある木は葉が紅葉し、またある木は葉が一枚も残っていない。
 四季で見せる筈の顔がまばらに見えている。
 そしてその木々の隙間からは色とりどりの花が見える。
 土から顔を出したばかりの芽、もうすぐ開花する(つぼみ)、咲き誇った花。
 そんな不思議な景色が辺り一面、高い所から見ているのにも関わらず、地平線の彼方まで広がっていた。
「そうだね…ここまで来るのに沢山の『問い』を育てて、沢山『意味』を探した…いや、(はぐく)んできたね」
 青年達は過ぎ去った日々を思い出すように目を細めていた。
 そして、一人の青年が小さく呟くと、それに呼応(こおう)するかのようにもう一人が言葉を紡ぐ。
「…この庭は………終わらない」
「僕が居て」
「君が居て」

「「問い続ける限り」」

二人の声が重なり、庭に響く。
きっと青年達はいつまでもこうして、眼前の景色が更に広がり、彩がより増える事に期待を膨らませ、笑いあい、時にぶつかり、あらゆる『心』を共有しながら、これからも過ごして行くのだろう。


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 君の言葉は(まわ)る。
 いつか話したあの言葉。
 その言葉が廻るのは未来。
 過去から未来へと廻る。
 僕の声も廻る。
 君の声と共に廻る。
 風がそよそよと。
 風がサラリと。
 風がゴォゴォと。
 廻って、廻って、廻って。
 再び僕等の胸へと帰る。
 言葉は廻る。
 いつまでも。
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