-----------------------------------------------------------------------------------------------
忘れたい事。
忘れたくない事。
忘れられない事。
忘れられたくない事。
忘れてしまった事。
忘れられてしまった事。
忘れてしまった過去に意味はあるのか。
『意味』という役割を終えたから忘れたのか。
それがわかるのはどうせ未来。
だから残す。
嬉しかった事も。
悲しかった事も。
きっと未来の糧になる。
-----------------------------------------------------------------------------------------------
「今日は日差しが強いね」
「うん、少し暑いくらいかな…」
今日は僕等は少しだけ庭を掃除している。
掃除と言っても、木々や花々の手入れではない。
どこからかコロコロと転がってきた小石。
木からハラリと落ちてしまった葉っぱ。
不思議な事にこの庭ではそういった物が一か所に『集まって』きてしまう。
だから僕達はたまに『集まって』しまった物を色んな場所に『散らばせて』いる。
「僕達の光景、きっと何も知らない人達が見たらビックリするだろうね」
僕は笑いながら落ち葉の山を箒でワシャワシャと崩す。
「そうだね、こんな事、別の場所でやってたら怒られちゃうからね」
彼もアハハと笑いながら、腕に抱えた沢山の石ころを優しく辺りにポイ、ポイ、と豆まきの様に撒いている。
「まぁ、実際初めてこれを君に提案した時、君はものすごく驚いていたし。
自分でも馬鹿っぽいなぁとは思ったよ」
「そりゃあ普通。
なんか勝手に綺麗になってるね。
そうだね。
じゃあ散らかそうか。
って発想にはならないでしょ。
あれはインパクトが強すぎて忘れられないよ」
彼は当時の事を思い出し、それがツボに入ったのか、クククと肩を揺らしながら笑っている。
「だって、普通ゴミは散らかるものなのに、勝手に集まってるんだもん、それってなんか不気味だしさぁ。
どうせどんなに散らかしても時間が経つと一か所に集まるなら落ち葉も石ころも、散らかっている方がなんだかこの庭っぽくていいじゃないか。
それに………ホッ!」
バサァ!!
僕は落ち葉を腕いっぱいに抱えてそれを上へと放り投げた。
「それに?」
「この落ち葉たちは無駄じゃない、確かに枝から落ちてしまって、葉っぱの『景色』という役割は終えたかもしれない。
でもまだ落ち葉には『腐葉土』になれる。
腐葉土はいずれまた撒かれる種に沢山の栄養を与えてくれる。
あの木に付いていた葉っぱはどんな形だったっけ?
っていずれ忘れてしまったとしても、その葉は腐葉土になって新しい『役割』を果たす」
「じゃあ、この石ころたちは?」
「んー…景観?」
「なにそれ、変なの」
彼は再びアハハと笑いながら、小石を綺麗に撒いている。
「僕はね、この庭にあるものに『意味の無い物』は無いと思っているんだ。
………いや、そう思いたいって言うのが強いかな。
例えばその小石だって、確かに今はなんでここにあるかもわからない。
でも、いつかその小石が僕達の新しい会話のきっかけになるかもしれない。
そんな可能性がある物を捨ててしまうなんてもったいないじゃないか。
たまたまみつけて、たまたま話題が産まれる………。
そこから草木が…『問い』が育つ。
そうやってこの庭は大きくなって…色付くんだから」
「小石一つにすら、君は『希望』を抱いているんだね」
「まぁね………。
あぁ、そこ、『雑草』気を付けて!」
「あ、ごめん!
あわわわ!!」
ズテン!
彼が雑草を『踏みそう』になったので、僕が思わず声を掛けたら、彼はバランスを崩してそのまましりもちをついてしまった。
「ご、ごめん、思わず大きい声だしちゃって…大丈夫?」
僕は何度も謝りつつ彼に手を差し伸べた。
「アハハ、大丈夫だよ。
それよりも雑草は?」
彼は僕の手を取り立ち上がると、自分が踏みそうになってしまった雑草をちらりと見て、安堵の溜め息をこぼした。
「ほんと、君はここでは雑草すらも大事にするんだね」
「そりゃそうさ、雑草だってこの庭にとっては大事なものだ。
いつ撒いた種かもわからない。
ふとした拍子にこぼれた種かもしれない。
或いは、僕達が撒いたけれど、それを『忘れていて』大きく育っていないだけかもしれない。
だけど、その忘れた過去も、その時にとっては意味のあるとても大切だった思い出かもしれない。
だから『忘れていても確かにあった過去』として目に見えているこの雑草すら、僕は大事にしたいんだ。
この庭に『庭師』はいらない。
草木に直接手入れをしなくていいんだ」
「ふふっ、そしたらいつかこの庭はジャングルみたいになっちゃうかもね」
彼はそう言って、笑った。
「そうだね、でもジャングルも一つの大きな生態系を作る為の大切な場所になる。
だから僕はそれでもいいと思ってるよ。
さぁ、庭の『掃除』はこれで終わりだ。
一通り『綺麗に散らかった』ね」
忘れたい事。
忘れたくない事。
忘れられない事。
忘れられたくない事。
忘れてしまった事。
忘れられてしまった事。
忘れてしまった過去に意味はあるのか。
『意味』という役割を終えたから忘れたのか。
それがわかるのはどうせ未来。
だから残す。
嬉しかった事も。
悲しかった事も。
きっと未来の糧になる。
-----------------------------------------------------------------------------------------------
「今日は日差しが強いね」
「うん、少し暑いくらいかな…」
今日は僕等は少しだけ庭を掃除している。
掃除と言っても、木々や花々の手入れではない。
どこからかコロコロと転がってきた小石。
木からハラリと落ちてしまった葉っぱ。
不思議な事にこの庭ではそういった物が一か所に『集まって』きてしまう。
だから僕達はたまに『集まって』しまった物を色んな場所に『散らばせて』いる。
「僕達の光景、きっと何も知らない人達が見たらビックリするだろうね」
僕は笑いながら落ち葉の山を箒でワシャワシャと崩す。
「そうだね、こんな事、別の場所でやってたら怒られちゃうからね」
彼もアハハと笑いながら、腕に抱えた沢山の石ころを優しく辺りにポイ、ポイ、と豆まきの様に撒いている。
「まぁ、実際初めてこれを君に提案した時、君はものすごく驚いていたし。
自分でも馬鹿っぽいなぁとは思ったよ」
「そりゃあ普通。
なんか勝手に綺麗になってるね。
そうだね。
じゃあ散らかそうか。
って発想にはならないでしょ。
あれはインパクトが強すぎて忘れられないよ」
彼は当時の事を思い出し、それがツボに入ったのか、クククと肩を揺らしながら笑っている。
「だって、普通ゴミは散らかるものなのに、勝手に集まってるんだもん、それってなんか不気味だしさぁ。
どうせどんなに散らかしても時間が経つと一か所に集まるなら落ち葉も石ころも、散らかっている方がなんだかこの庭っぽくていいじゃないか。
それに………ホッ!」
バサァ!!
僕は落ち葉を腕いっぱいに抱えてそれを上へと放り投げた。
「それに?」
「この落ち葉たちは無駄じゃない、確かに枝から落ちてしまって、葉っぱの『景色』という役割は終えたかもしれない。
でもまだ落ち葉には『腐葉土』になれる。
腐葉土はいずれまた撒かれる種に沢山の栄養を与えてくれる。
あの木に付いていた葉っぱはどんな形だったっけ?
っていずれ忘れてしまったとしても、その葉は腐葉土になって新しい『役割』を果たす」
「じゃあ、この石ころたちは?」
「んー…景観?」
「なにそれ、変なの」
彼は再びアハハと笑いながら、小石を綺麗に撒いている。
「僕はね、この庭にあるものに『意味の無い物』は無いと思っているんだ。
………いや、そう思いたいって言うのが強いかな。
例えばその小石だって、確かに今はなんでここにあるかもわからない。
でも、いつかその小石が僕達の新しい会話のきっかけになるかもしれない。
そんな可能性がある物を捨ててしまうなんてもったいないじゃないか。
たまたまみつけて、たまたま話題が産まれる………。
そこから草木が…『問い』が育つ。
そうやってこの庭は大きくなって…色付くんだから」
「小石一つにすら、君は『希望』を抱いているんだね」
「まぁね………。
あぁ、そこ、『雑草』気を付けて!」
「あ、ごめん!
あわわわ!!」
ズテン!
彼が雑草を『踏みそう』になったので、僕が思わず声を掛けたら、彼はバランスを崩してそのまましりもちをついてしまった。
「ご、ごめん、思わず大きい声だしちゃって…大丈夫?」
僕は何度も謝りつつ彼に手を差し伸べた。
「アハハ、大丈夫だよ。
それよりも雑草は?」
彼は僕の手を取り立ち上がると、自分が踏みそうになってしまった雑草をちらりと見て、安堵の溜め息をこぼした。
「ほんと、君はここでは雑草すらも大事にするんだね」
「そりゃそうさ、雑草だってこの庭にとっては大事なものだ。
いつ撒いた種かもわからない。
ふとした拍子にこぼれた種かもしれない。
或いは、僕達が撒いたけれど、それを『忘れていて』大きく育っていないだけかもしれない。
だけど、その忘れた過去も、その時にとっては意味のあるとても大切だった思い出かもしれない。
だから『忘れていても確かにあった過去』として目に見えているこの雑草すら、僕は大事にしたいんだ。
この庭に『庭師』はいらない。
草木に直接手入れをしなくていいんだ」
「ふふっ、そしたらいつかこの庭はジャングルみたいになっちゃうかもね」
彼はそう言って、笑った。
「そうだね、でもジャングルも一つの大きな生態系を作る為の大切な場所になる。
だから僕はそれでもいいと思ってるよ。
さぁ、庭の『掃除』はこれで終わりだ。
一通り『綺麗に散らかった』ね」
