階段を下りていくと、そこには巨大な地下室が広がっていた。
コンクリートで囲まれた大きな空間に、たくさんの機械が並んでいる。
その機械たちから放たれる、様々な色の光がチカチカと点滅し、どこか異様な光景のように思えた。
機械音とカタカタという音だけが響いており、どこか不気味な感じが漂っている。
ここが工場の中だということを忘れてしまう。
一階の様子とは異なり、ちゃんと整備された最新の機械が所狭しと並んでいる。
機械といっても、工場で使うものではなく、研究所で使うもののように見えた。
アニメでよく見る研究所って感じだな、と俺は感心し、それらに目を奪われていた。
先ほどから、桐生の目がキラキラと輝いているのが、何よりの証拠だ。
「すごいよ、これ。大きな研究施設みたい」
様々な機械が、いくつもの列を作って並んでいる。
いったいこれだけの施設を作るのに、どれだけの金額をかけたのだろうか。
実験道具もあちこちに放置され、すべてが高価そうな代物だった。
俺達は機械の影に隠れながら、ゆっくりと進んでいく。
視線の先に川野を捉えた。
川野は誰かと話している。その人物を見た俺は、衝撃で目が大きく開いた。
「あいつ……」
「確か、カフェのマスター、だよね?」
川野と話しているのは、沙羅の勤め先のカフェのマスターだった。
あの時の違和感はこれだったのか。
沙羅のことを話すとき、何かひっかかるものを感じていた。
今さらながら、俺の鈍感ぶりに嫌気がさす。
どうもあのカフェのマスターは、この組織のリーダーのようだ。
先ほどから周りの者たちに指示を出している。
川野をそそのかしたのも、多分あいつだろう。
俺達は、二人の会話に耳を澄ませた。
「もうすぐ、完成だ」
マスターが嬉しそうに微笑むと、川野が興奮した様子で語りかける。
「やりましたね、山本さん。これでやっと新時代が始まります」
マスターは、山本というらしい。
「ああ、まずは手始めに地下鉄を狙ってみるか」
「いいですね、ははっ、今から皆がパニックになって逃げ惑う姿が浮かびますよ」
恐ろしい言葉が飛び交っている。
川野たちはこれから、大規模なテロを起こそうと計画しているようだった。
人探しから、とんでもないことに巻き込まれてしまった。
いったい、しがない探偵にどうしろというんだ。
とにかく今は、一刻も早く沙羅を見つけ出すことが先決だ。
「はじめちゃんが何かに反応したよ!」
桐生は突然声を上げた。
どうやら、何かを感じ取ったはじめが、動き出したようだ。
はじめのあとを桐生が追いかけていく。
「お、おい。気を付けろよ。気づかれないように慎重にな」
俺達は、はじめと桐生の後ろに続いた。
「あっち」
はじめの指差す方を見ると、そこには女性がいた。
沙羅だ!
手足を縄で拘束され、口をガムテープで塞がれている。
川野たちからは遠く、機械などが邪魔をしていて目に入らない位置だ。
俺は物音を立てないように、慎重に沙羅へと近づいていく。
俺の存在に気づいた沙羅は驚き、逃げようと藻掻いた。
しかし、俺が人差し指を口に当てウインクすると、彼女は訝しげに俺を見つめ、その動きが止まった。
「あなたを助けにきました。黒猫に宝石をつけて助けを求めたのも、メモにメッセージを残してこの場所を知らせたのも、あなたですよね?」
彼女ははっとして俺を見つめる。そして涙目になった。
俺は彼女の口のガムテープを剥がして、手足の縄を解いた。
「あなたは……」
彼女が不思議そうな顔で見つめる。
「ただのしがない探偵ですよ」
俺が微笑んだそのとき、
「おい! 何してる!」
振り向くと、男がこちらを険しい顔で見つめている。
しまった、見つかった! どうする。
そのとき、何かが爆発する音が響き渡る。
煙が辺り一面にモクモクと立ち込めていった。
なんだ、何が起きた?
煙の中をかき分け、すぐ近くにやってきた桐生がそっと俺に声をかけてきた。
「輪島くん、こうなったらやるしかないよ! 俺が煙幕で加勢するから。
リリーは只今戦闘中! 佐々木くんもやる気だよっ。
僕とはじめちゃんは、ここで沙羅さんを守るよ」
こんなときに、ニコッと笑いかけてくる桐生。
な、なんだか、こいつが頼りになる奴に見えるのは気のせいか。
俺は目を擦りながら桐生を見つめる。
いつもより凛々しい表情の桐生が、そこにはいた。
何で、こんなにこいつらはやる気なんだ?
俺は混乱しながらも、冷静さを保とうと努力した。
まあ、こうなったらこいつらの作戦にのるしかない。
俺は覚悟を決めた。
「わかった、沙羅さんを頼むぞ!」
俺が立ち上がると、桐生がゴーグルを差し出した。
「これ、煙幕の中でも人を感知できるんだ。つけてって」
「サンキュ」
俺はもう桐生のことを信頼していた。なんの疑いもなく、それを受け取る。
ゴーグルを装着した俺は、勢いよく煙の中へと突入していった。
コンクリートで囲まれた大きな空間に、たくさんの機械が並んでいる。
その機械たちから放たれる、様々な色の光がチカチカと点滅し、どこか異様な光景のように思えた。
機械音とカタカタという音だけが響いており、どこか不気味な感じが漂っている。
ここが工場の中だということを忘れてしまう。
一階の様子とは異なり、ちゃんと整備された最新の機械が所狭しと並んでいる。
機械といっても、工場で使うものではなく、研究所で使うもののように見えた。
アニメでよく見る研究所って感じだな、と俺は感心し、それらに目を奪われていた。
先ほどから、桐生の目がキラキラと輝いているのが、何よりの証拠だ。
「すごいよ、これ。大きな研究施設みたい」
様々な機械が、いくつもの列を作って並んでいる。
いったいこれだけの施設を作るのに、どれだけの金額をかけたのだろうか。
実験道具もあちこちに放置され、すべてが高価そうな代物だった。
俺達は機械の影に隠れながら、ゆっくりと進んでいく。
視線の先に川野を捉えた。
川野は誰かと話している。その人物を見た俺は、衝撃で目が大きく開いた。
「あいつ……」
「確か、カフェのマスター、だよね?」
川野と話しているのは、沙羅の勤め先のカフェのマスターだった。
あの時の違和感はこれだったのか。
沙羅のことを話すとき、何かひっかかるものを感じていた。
今さらながら、俺の鈍感ぶりに嫌気がさす。
どうもあのカフェのマスターは、この組織のリーダーのようだ。
先ほどから周りの者たちに指示を出している。
川野をそそのかしたのも、多分あいつだろう。
俺達は、二人の会話に耳を澄ませた。
「もうすぐ、完成だ」
マスターが嬉しそうに微笑むと、川野が興奮した様子で語りかける。
「やりましたね、山本さん。これでやっと新時代が始まります」
マスターは、山本というらしい。
「ああ、まずは手始めに地下鉄を狙ってみるか」
「いいですね、ははっ、今から皆がパニックになって逃げ惑う姿が浮かびますよ」
恐ろしい言葉が飛び交っている。
川野たちはこれから、大規模なテロを起こそうと計画しているようだった。
人探しから、とんでもないことに巻き込まれてしまった。
いったい、しがない探偵にどうしろというんだ。
とにかく今は、一刻も早く沙羅を見つけ出すことが先決だ。
「はじめちゃんが何かに反応したよ!」
桐生は突然声を上げた。
どうやら、何かを感じ取ったはじめが、動き出したようだ。
はじめのあとを桐生が追いかけていく。
「お、おい。気を付けろよ。気づかれないように慎重にな」
俺達は、はじめと桐生の後ろに続いた。
「あっち」
はじめの指差す方を見ると、そこには女性がいた。
沙羅だ!
手足を縄で拘束され、口をガムテープで塞がれている。
川野たちからは遠く、機械などが邪魔をしていて目に入らない位置だ。
俺は物音を立てないように、慎重に沙羅へと近づいていく。
俺の存在に気づいた沙羅は驚き、逃げようと藻掻いた。
しかし、俺が人差し指を口に当てウインクすると、彼女は訝しげに俺を見つめ、その動きが止まった。
「あなたを助けにきました。黒猫に宝石をつけて助けを求めたのも、メモにメッセージを残してこの場所を知らせたのも、あなたですよね?」
彼女ははっとして俺を見つめる。そして涙目になった。
俺は彼女の口のガムテープを剥がして、手足の縄を解いた。
「あなたは……」
彼女が不思議そうな顔で見つめる。
「ただのしがない探偵ですよ」
俺が微笑んだそのとき、
「おい! 何してる!」
振り向くと、男がこちらを険しい顔で見つめている。
しまった、見つかった! どうする。
そのとき、何かが爆発する音が響き渡る。
煙が辺り一面にモクモクと立ち込めていった。
なんだ、何が起きた?
煙の中をかき分け、すぐ近くにやってきた桐生がそっと俺に声をかけてきた。
「輪島くん、こうなったらやるしかないよ! 俺が煙幕で加勢するから。
リリーは只今戦闘中! 佐々木くんもやる気だよっ。
僕とはじめちゃんは、ここで沙羅さんを守るよ」
こんなときに、ニコッと笑いかけてくる桐生。
な、なんだか、こいつが頼りになる奴に見えるのは気のせいか。
俺は目を擦りながら桐生を見つめる。
いつもより凛々しい表情の桐生が、そこにはいた。
何で、こんなにこいつらはやる気なんだ?
俺は混乱しながらも、冷静さを保とうと努力した。
まあ、こうなったらこいつらの作戦にのるしかない。
俺は覚悟を決めた。
「わかった、沙羅さんを頼むぞ!」
俺が立ち上がると、桐生がゴーグルを差し出した。
「これ、煙幕の中でも人を感知できるんだ。つけてって」
「サンキュ」
俺はもう桐生のことを信頼していた。なんの疑いもなく、それを受け取る。
ゴーグルを装着した俺は、勢いよく煙の中へと突入していった。



