青い朧月

それからというもの、涼斗は真夏をそれとなく避けるようになった。

もちろん、クラスメイトだし部活も一緒だから、露骨な避け方はしてこなかった。

だけど、必要以上の会話を避けられるようになった。

真夏は何度も涼斗に謝罪を伝えようとしたが、メッセージは返してもらえず、電話は切られ、直接話そうとしても避けられてしまっていた。

真夏は最初のうちは、自分の自業自得だと思って縮こまってしまっていたけど、よく考えてみれば別に好きな相手にいつ告白するかなんて個人の自由だし、原画展に行く前に、涼斗にだって葉月に告白する機会はあったはずだ。

確かに、ちょっとの間付き合っていたことを黙っていたのは反省しているけど、ここまでしつこく怒るようなことではない気がして、段々と涼斗の態度にムカつくようになってきた。

「もういいや。涼斗が会話すらする気がないなら、こっちだってもうほっとこう。」

涼斗との仲が決裂してから通算で15回目の電話をかけて、ワンコールで切られたその日、真夏はスマホを放り出し、こちらから涼斗に連絡するのをやめることを決意した。


「なんかさ、真夏くん、最近元気ないよね。」

葉月と2人で、今日は映画を見て、そのあとファストフード店で談笑をしているときにそう言われた。

真夏は、「そうかな?」と曖昧に返しつつ、ハンバーガーを齧る。

新商品だというそれは思ったよりも辛い味付けだった。

「涼斗くんと何かあったんでしょ?」

葉月は軽く睨めつけるような視線を真夏に送りながら続ける。

「なんでそう思うの?」

真夏が問うと、

「だって、あなたたち最近よそよそしいんだもの。グループチャットも全然動かないしさ。流石に誰だって気づくよ。」

葉月は至極もっともなことを言った。

「気まずい思いをさせちゃったならごめん…」

真夏が謝ると、葉月は露骨に大きなため息を吐いた。

「で、何があったの?」

そう聞かれても、『実は、涼斗も葉月のことが好きだったんだ』なんて、本人を前にして言えるわけがないので、

「別に。葉月には関係ないことだよ。これは僕たちの問題なんだ。だから気にしないで。」

と言ってこの話を切り上げようとした。

葉月は、もう一度息を吐き出し、

「なんで喧嘩したのか知らないけどさ、早く仲直りしてよ。どうせ大したことじゃないんでしょう?こっちまで気分が重くなっちゃうから、辞めてくれないかな?」

葉月はその後も、散々文句を言ってその日はお開きになった。

正直、怒るのは当然だ。

普段の学校や部活動の間など、涼斗はあまり表に出さないようにしてはくれているけれど、こういうのはどうしたって空気に出てしまう。

一緒にいて、ずっと気を使ってくれていたんだろうな、と考えると、本当に申し訳ない気持ちになった。

その日の帰り道、真夏はもう一度涼斗に電話をかけてみたが、涼斗が出ることはなかった。

真夏は、せっかく謝ろうと思ったのに、なんでだよ、と思い、さらに苛立ちが募った。