ぜんぶお前のためだから


「あっ……あのさ!陽太ってさ、まだ週刊少年ステップって買ってる?」


「…………」


「えっと……僕はもう買ってないんだけど、最近見てる深夜アニメの原作が連載されてるらしくてさ……気になってるんだよねー……あはは」


気まずい沈黙が僕らの間に流れた。

さすがに話の流れ的に無理があったかな……?

隣から不機嫌そうな陽太の視線が突き刺さる。


「……なんてタイトル?」


「えっ?」


唐突に聞こえてきた声に、思わず顔を向ける。

まだ少しふてくされた様子の陽太が、小さく首を傾げていた。


「だから、気になってるっていう深夜アニメの原作……なんてタイトル?」


「あ……ああ、えっとね――」


話にのってきてくれた陽太に感謝しながら僕が題名を伝える。

それを聞くなり陽太は口元に指を添えて少し考えたあと、僕を見て呟いた。


「その漫画の単行本なら、俺持ってる」


「そうなんだ、やっぱり面白い?アニメと漫画で内容を少し変えてるって聞いたんだけど……」


「気になってるなら、ウチに来る?」


「――へ?」


目を瞬かせる僕に、陽太がニヤリと笑った。


「俺の家に来いよ、実月。本、貸してあげる」


幼なじみの陽太と久しぶりに会話をしたその日。

僕は彼の家にお邪魔することになってしまった。