「皆がハーフだった俺の髪と目の色をからかってさ……それを実月だけが褒めて、からかってくるやつらを追い払ってくれたよな」
「そ、そんな大したことしてないよ。陽太の髪も目も、本当にキレイだったから……勝手に漫画の主人公みたいに扱っちゃってただけ」
まだ幼かった僕には、陽太の存在は憧れていたヒーローそのものだった。
日本人離れした整った顔に、サラサラと風になびく淡い金色……自分とは違う空のように青い瞳。
スポーツ万能で頭もよくて……なんでもできる。
そんな、太陽みたいに眩しい人間。
彼に心を奪われてからは、ずっと近くで一方的に話をしていた。
その頃から話題はアニメや漫画のことばかりだったけど……陽太も楽しんでくれていただろうか。
彼は僕へと視線を向けて、はにかんだ笑みを浮かべた。
「それでも……俺にはお前の存在がありがたかった。俺のそばで月みたいに優しく寄り添ってくれる実月が、最初の友達で嬉しかったんだ」
トクトクと鼓動が脈をうつ。
今の僕には過大評価な陽太の言葉が、くすぐったくて仕方なかった。
太陽と月なんて、真逆の存在なのに。
近くにいたら、彼の邪魔になるのに。
そう思う反面……そばにいたいと叫ぶ心に、必死にフタをした。
人気者の陽太に、オタクなこと以外なんの取り柄もない日陰者の僕が近づくなんて周りが許してくれない。
いや、僕自身がそんなこと許せない。
近づかず、遠くから太陽の幸せを見守るのが月の仕事だ。
これは全部、陽太のためだから。
だから僕は……逃げるように話題を変えた。


