その反抗的な動作にすぐさま舌打ちが降ってきた。
ドッドッと心臓が嫌な音を立てる。
震える足で立ち上がり、視線を合わさないようにクリアファイルを目前に掲げながら僕は必死に口を開いた。
「き……キモくなんかないよ、今はアニメ好きな人も多いし!それに、男が女性キャラのグッズを持っていたって文句を言われる筋合いは――」
「は?オタクの早口ウッザ」
「っ……ご、ごめん、でもこのクリアファイルのキャラって本当に良いキャラで……それを悪く言われるのは、その……!」
「うっせぇなぁ!さっさと失せろよクソオタ!」
苛立った様子の一人が、僕の肩を勢いよく突き飛ばす。
後方へとバランスを崩した体は、倒れる途中で何かに支えられた。
見上げた先には一人の男子生徒がいて、僕の肩を後ろから抱きとめている。
開け放たれた窓から吹く風で、色素の薄い金色の髪の毛がサラサラと揺れていた。
僕の目が丸くなり、数年越しに見知った彼の名前を呼ぶ。
「陽太……?」
いつからか話しかけるのをためらうようになった幼なじみ。
自分の口から出た懐かしい彼の名前の響きに、間違っていないか確かめるようなたどたどしい声色になる。
彼は僕に柔らかな笑みを向けたあと、顔を上げていじめっ子達を睨みつけた。
「失せるのはお前らの方な」
冷たく吐き捨てるような短い言葉。
それは背の高い彼が放つ威圧感に、ますます拍車をかけていた。


