「次の日曜、二人でどっか遊びに行こう」
「そ、れは……いきなりすぎない!?」
「でも学校で近づくのはダメなんだろ?それなら外で会うしかないじゃん……これもダメ?」
捨てられた子犬みたいな、放っておけない瞳で僕を見つめる陽太に根負けする。
「わ……分かったよ!遊びに行こう……!」
「やった」
ようやく機嫌を直したらしい陽太が僕の頭に手を伸ばす。
その骨張った手が優しく髪の毛を撫でた。
「それなら、学校では近づくの我慢する。実月のためだから……でも」
陽太が僕の耳元に近づき、囁いた。
「また実月がいじめられてるの見たら……そのときは俺、暴れちゃうから」
「えっ……」
「それだけは覚悟してろよ」
再び目を細めた陽太が、嘘や冗談を言っているようにはとても見えない。
暴れるって……本気なの?
長い時間をかけて実った初恋。
それがこれから始まる新しい学校生活に波乱を招く予感がして気が気ではない。
だけど。
自覚してしまった想いにフタをすることも、もうできそうになかった。
目の前で笑う僕の太陽が眩しくて、ローテーブルの上に置かれたままのグラスを掴み、中身を一気に飲み干した。
初デートまで、あと数日。
僕の心臓は、持ってくれるだろうか。


