ぜんぶお前のためだから


それはほんの一瞬だけ、軽く触れただけの優しいものだったけど、唇に残る陽太の熱はずっと消えずにそこにあった。

離れていく体。

陽太の顔は真っ赤になっていて、きっと僕も同じくらい赤くなっているんだろうなと直感する。


「あー……こんなダセー告白の仕方、するつもりなんかなかったのに……実月が部屋にいるって意識したら無理だわ、我慢できねぇ」


「えっ……ぼ、僕のせい?」


「んー……うん、実月が可愛いせい」


「なんだよ、それ」


顔を見合わせてクスクスと笑いあう。

こんなに心が満たされるのは久しぶりだった。

アニメでも漫画でも、オタ活でも……こんなに幸せだって思うことなかったのに。

これが“両想い”ってやつなのかな……。


「実月」


「ん?なに?」


「これからは、我慢しなくていいよな?実月に話しかけるのも、近づくのも……好きなだけお前のそばにいて、いいよな?」


甘えるような声で、ねだるように陽太が首をこてんと傾げた。

その仕草が可愛くて一瞬許しかけたけど、すぐに両手で大きなバツ印を作る。


「だ……ダメ!それはまだ、心の準備が……」


「えー」


「ご、ごめんって……」


ムスッと頬を膨らませた陽太の頭を撫でる。

サラサラと髪の毛を指先で流すと、彼は心地よさそうに目を細めた。


「じゃあ……学校以外ならいいの?」


「え、学校以外?」


「うん、例えばさ――」


陽太が僕に体を寄せた瞬間、ギシッとベッドが軋む。

その音にドキリと胸が高鳴るのを感じながら陽太を見上げた。