先生に案内され、宮坂は窓際の一番後ろの席へ向かった。
俺の席から二列向こう。
遠くはないけど、話しかける距離でもない。
特別なことは何もない。
なのに、なぜか何度か目が向いた。
一時間目が始まる。
数学だった。
先生が黒板に問題を書いている間、教室にはノートをめくる音だけが響いていた。
ふと視線を上げる。
宮坂はもう教科書を開いていた。
転校初日なのに、どのページなのか迷う様子もない。
隣の席のやつが小さく教えてやると、「ありがとう」と笑って、すぐにページを合わせていた。
……その笑い方が、妙に自然だった。
愛想笑いじゃない。
だからといって、無理に距離を縮めようとしているわけでもない。
誰に対しても同じように笑う。
そんな笑い方だった。
ノートを取る字もきれいだった。丁寧だけど、遅くはない。
黒板とノートを何度も見比べることもなく、さらさらと書き進めていく。
勉強ができるのかもしれない。
そんなことを思った。
チャイムが鳴る。
数学の教師が出て行くと同時に、俺はふと気づいた。
____俺、ずっとあいつのこと見てた?
なぜかはわからない。でも、思わず目で追ってしまうような存在。
宮坂の席の周りには何人か集まっていた。
質問されるたびに、少し考えてから答える。答えながら笑う。
その繰り返し。
気づけば、さっきまで知らない者同士だったはずなのに、もう何人かは普通に話していた。
「すげぇな。」
隣で静留が小さく呟く。
「初日なのに。」
「……うん。」
「由寿には無理だな。」
「無理。」
即答すると、静留が吹き出した。
「認めるの早。」
俺も少しだけ笑う。
もう一度だけ、宮坂の方を見る。
ちょうどその時だった。
誰かが笑って、宮坂もつられるように笑った。
その笑顔はよく見ると少し幼くて、それなのに不思議と落ち着いて見えた。
……変なやつ。
さっきから、その感想だけは変わらなかった。
俺の席から二列向こう。
遠くはないけど、話しかける距離でもない。
特別なことは何もない。
なのに、なぜか何度か目が向いた。
一時間目が始まる。
数学だった。
先生が黒板に問題を書いている間、教室にはノートをめくる音だけが響いていた。
ふと視線を上げる。
宮坂はもう教科書を開いていた。
転校初日なのに、どのページなのか迷う様子もない。
隣の席のやつが小さく教えてやると、「ありがとう」と笑って、すぐにページを合わせていた。
……その笑い方が、妙に自然だった。
愛想笑いじゃない。
だからといって、無理に距離を縮めようとしているわけでもない。
誰に対しても同じように笑う。
そんな笑い方だった。
ノートを取る字もきれいだった。丁寧だけど、遅くはない。
黒板とノートを何度も見比べることもなく、さらさらと書き進めていく。
勉強ができるのかもしれない。
そんなことを思った。
チャイムが鳴る。
数学の教師が出て行くと同時に、俺はふと気づいた。
____俺、ずっとあいつのこと見てた?
なぜかはわからない。でも、思わず目で追ってしまうような存在。
宮坂の席の周りには何人か集まっていた。
質問されるたびに、少し考えてから答える。答えながら笑う。
その繰り返し。
気づけば、さっきまで知らない者同士だったはずなのに、もう何人かは普通に話していた。
「すげぇな。」
隣で静留が小さく呟く。
「初日なのに。」
「……うん。」
「由寿には無理だな。」
「無理。」
即答すると、静留が吹き出した。
「認めるの早。」
俺も少しだけ笑う。
もう一度だけ、宮坂の方を見る。
ちょうどその時だった。
誰かが笑って、宮坂もつられるように笑った。
その笑顔はよく見ると少し幼くて、それなのに不思議と落ち着いて見えた。
……変なやつ。
さっきから、その感想だけは変わらなかった。
