時刻は十五時三十分、あっというまに時間が過ぎていった。僕らはそろそろ教室を出ないといけない。愛奈は泣き止み、机に両肘をついて僕を見ていた。
「君に何でも願いを叶える権利をあげます。なにがいい?」
「実は、決めてあるんだ」
僕は机に置かれた最後の裏読みトランプ【水谷13 ♥】を手に取り、愛奈に渡した。
「もう少しだけゲームを続けたい。愛奈にはこのカードを当ててほしいんだ」
「一枚だけ残ってるのは可哀想だもんね~でもいいの? 私に何でもできるんだよ」
そう言いながら愛奈は顔を赤らめ、腕を組んで僕から目を逸らす。
「変態じゃないから。僕にとって、このカードが一番叶えたいことなんだ、頼むよ」
僕は愛奈を真っ直ぐに見つめる。彼女はふ~んと言いながら、カードに目をやった。
「勝者のお願いは絶対だもんね~分かった。ふふっ、君は私と何をしたいのかな?」
「愛奈ならきっと分かるよ。ちなみに、僕に勝ったら何をお願いしようと思ってたの?」
「ひ・み・つ~君が負けてくれたら分かるかもね」
「それは嫌だ」
だよね~と愛奈は言って微笑む。対する僕はちょっと不貞腐れながら机に散らばったものを片づけ、今日のために描いたトランプを愛奈に手渡す。
「これ、あげるよ」
「えっ、いいの? 君が頑張って描いたものじゃないの?」
「だからだよ。これが最後のトランプのヒントになる」
「へ~ますます当てたくなっちゃった、ありがと」
愛奈は僕が渡したトランプ入りのカードケースを大事そうに両手で抱えた。
「どういたしまして。明日、楽しみにしてるから」
「は~い。じゃあ帰ろっか」
僕は、愛奈を車いすに乗せて教室を後にした。
学校からの帰り道は少し肌寒かったが、愛奈と話していると自然と体が温かくなって、へっちゃらだった。彼女のお母さんと合流し愛奈は病院へ戻り、僕は家へ帰った。
寝るのが惜しかったけど、すぐ病室で愛奈に会える。そう思うと、ぐっすりと眠りについた。
明日が来るのが当たり前だと思っていた。明日も病室で愛奈に会って、当て合いをして、高校生のうちにやりたいことリストを実行する、そんな日常が送れると思っていた。
翌日、お見舞いの準備をしていると、愛奈のお母さんから彼女の意識が戻らないと連絡を受け、急いで病室へ向かった。
――でも、僕がどれだけ声を掛けたとしても、愛奈が目を覚ますことはなかった。
「君に何でも願いを叶える権利をあげます。なにがいい?」
「実は、決めてあるんだ」
僕は机に置かれた最後の裏読みトランプ【水谷13 ♥】を手に取り、愛奈に渡した。
「もう少しだけゲームを続けたい。愛奈にはこのカードを当ててほしいんだ」
「一枚だけ残ってるのは可哀想だもんね~でもいいの? 私に何でもできるんだよ」
そう言いながら愛奈は顔を赤らめ、腕を組んで僕から目を逸らす。
「変態じゃないから。僕にとって、このカードが一番叶えたいことなんだ、頼むよ」
僕は愛奈を真っ直ぐに見つめる。彼女はふ~んと言いながら、カードに目をやった。
「勝者のお願いは絶対だもんね~分かった。ふふっ、君は私と何をしたいのかな?」
「愛奈ならきっと分かるよ。ちなみに、僕に勝ったら何をお願いしようと思ってたの?」
「ひ・み・つ~君が負けてくれたら分かるかもね」
「それは嫌だ」
だよね~と愛奈は言って微笑む。対する僕はちょっと不貞腐れながら机に散らばったものを片づけ、今日のために描いたトランプを愛奈に手渡す。
「これ、あげるよ」
「えっ、いいの? 君が頑張って描いたものじゃないの?」
「だからだよ。これが最後のトランプのヒントになる」
「へ~ますます当てたくなっちゃった、ありがと」
愛奈は僕が渡したトランプ入りのカードケースを大事そうに両手で抱えた。
「どういたしまして。明日、楽しみにしてるから」
「は~い。じゃあ帰ろっか」
僕は、愛奈を車いすに乗せて教室を後にした。
学校からの帰り道は少し肌寒かったが、愛奈と話していると自然と体が温かくなって、へっちゃらだった。彼女のお母さんと合流し愛奈は病院へ戻り、僕は家へ帰った。
寝るのが惜しかったけど、すぐ病室で愛奈に会える。そう思うと、ぐっすりと眠りについた。
明日が来るのが当たり前だと思っていた。明日も病室で愛奈に会って、当て合いをして、高校生のうちにやりたいことリストを実行する、そんな日常が送れると思っていた。
翌日、お見舞いの準備をしていると、愛奈のお母さんから彼女の意識が戻らないと連絡を受け、急いで病室へ向かった。
――でも、僕がどれだけ声を掛けたとしても、愛奈が目を覚ますことはなかった。

