星降る夜の寓話

律は管轄外の事件に首を突っ込み、上司を無視した挙句に、許可もなく、私情で各所に勝手な指示を出したことでしばらく停職を言い渡された。


その後、律は復職と同時に田舎の駐在署への異動を申し出した。


わたしのせいで第一線の捜査一課の刑事から、またお巡りさんに戻ることに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

でも律はそれを否定した。

「あのさぁ、何か勘違いしてないか? 捜査一課の刑事はエラくて、駐在所のお巡りはエラくないの?」
「そんなこと言ってない」
「同じことだよ。強盗も無人販売所の窃盗も、同じなの。犯人捕まえる仕事には変わりない。どこで働いていようと同じ仕事だから。大体、何で俺がケーサツ官になろうと思ったのかわかってる?」
「お父さんも警察官だから」
「全然違う」
「じゃあ、何で?」

律がわたしを指差した。

「わたし?」
「そうだよ。環が言ったんだ。『ケーサツ官って、悪い人やっつけるヒーローみたいでかっこいい』って」
「それいつの話?」
「確か……環が小学校入ったくらいかな」
「そんなの覚えてないよ」

律は引越しの段ボールの中に、あのシーザーをしまいながら言った。

「俺は、一番大切なものを失ってない」

そして、段ボールでいっぱいの部屋の中で、まるで何でもないことのように言った。

「環の過去も現在も、未来も、全部ひっくるめて誰よりも愛してるという自信がある」


律の手が、もうきれいに治ったわたしの頬にふれた。

「一緒に生きていこう」