昨日のあの事件はもう朝のニュースになっていて、ゆずり葉の名前は出ていなかったけれど、時間の問題だった。
事件にはゆずり葉の人間が関わっているんだから。
急に会社を休んだわたしに、いつでもいいからどこかで時間がとれないかと、飯島さんから連絡があったので、夕方、駅前のカフェで待ち合わせをした。
顔の腫れを髪の毛で隠し、色はメイクで隠せば目立たないはず。
待ち合わせの時間前にお店について、カフェオレを飲んでいると、飯島さんがやって来た。
飯島さんはわたしの顔を見るなり涙をこぼした。
「環ちゃん……ごめんなさい……」
「どうして飯島さんが謝るんですか? 謝るのはわたしの方です。今日は、いきなりお休みしてご迷惑をおかけしました」
「環ちゃんは謝らなくていい……わたしのせいなんだから」
「どうして飯島さんのせいなんですか? 違いますよ」
「……今日、会社に警察の人が来て、いろいろ聞かれたの」
聞かれた?
「聞いた」じゃなくて?
「わたしが千鶴に余計なことを言ってしまったから……」
「千鶴さんって誰ですか?」
「わたしが環ちゃんを無理やり連れて行った合コンに来てたでしょ? 渡瀬千鶴が。彼女のこと、ずっと友達だと思ってた」
「その人がどうかしたんですか?」
「聞いてない?」
「何も」
「千鶴とわたしは会社の研修で会って、そこから仲良くなって……そう思ってたのはわたしだけだった。最初から、わたしが大和のいとこだと知ってて近づいたということを警察の人に教えられたの。千鶴は、わたしが彼女のことを大和に紹介するのを……6年間も待ち続けてたって……」
飯島さんは泣きながらわたしに頭を下げた。
「千鶴は大和と合コンで初めて顔を合わせたはずだったから、あの時『青葉』って名乗った大和が本当は『杠葉』って知らないはずなのに、わたしは気がつかなかったの。『鴎外さん、杠葉さんとまだ続いてるのね』って言われる度に、2人は仲がいいって話をいっぱいしてしまった……それで千鶴が環ちゃんを恨んでたなんて……」
あの男の言っていた「ちーちゃん」が「千鶴」で、初めて大和さんと会った合コンに来てた人……
あの時、大和さんが自分のことを「青葉」と言った時、「青葉?」と聞き返した女がいたのは印象に残ってる。
わたしも自分が勤める店舗の名前と同じだったから反応してしまった。
あの女のこと?
大和さんの名前が「杠葉大和」だと知っていたから、偽名を使ったことに反応したんだ。
でも、わたしは顔すら覚えていない……
「飯島さんのせいじゃありません! 飯島さんだって騙されてたんじゃないですか」
「環ちゃん……」
「泣かないでください。顔はちょっと微妙ですけど、こんなのすぐに治ります。わたしは元気ですよ!」
「怖い思いをさせてごめんね。わたしのせいでごめんね。怪我までさせてしまって……」
「絶対に飯島さんのせいじゃありません。悪いのは人の優しさを利用したあの女の方です」
「違う……わたしのせい……」
飯島さんが自分を責めて泣いている姿を見るのが辛い。
わたしは飯島さんのせいだなんてこれっぽちも思わない。
それに、大和さんとのことでわたしも、飯島さんを騙してる。
ごめんなさい……
飯島さんは何も悪くない。
事件にはゆずり葉の人間が関わっているんだから。
急に会社を休んだわたしに、いつでもいいからどこかで時間がとれないかと、飯島さんから連絡があったので、夕方、駅前のカフェで待ち合わせをした。
顔の腫れを髪の毛で隠し、色はメイクで隠せば目立たないはず。
待ち合わせの時間前にお店について、カフェオレを飲んでいると、飯島さんがやって来た。
飯島さんはわたしの顔を見るなり涙をこぼした。
「環ちゃん……ごめんなさい……」
「どうして飯島さんが謝るんですか? 謝るのはわたしの方です。今日は、いきなりお休みしてご迷惑をおかけしました」
「環ちゃんは謝らなくていい……わたしのせいなんだから」
「どうして飯島さんのせいなんですか? 違いますよ」
「……今日、会社に警察の人が来て、いろいろ聞かれたの」
聞かれた?
「聞いた」じゃなくて?
「わたしが千鶴に余計なことを言ってしまったから……」
「千鶴さんって誰ですか?」
「わたしが環ちゃんを無理やり連れて行った合コンに来てたでしょ? 渡瀬千鶴が。彼女のこと、ずっと友達だと思ってた」
「その人がどうかしたんですか?」
「聞いてない?」
「何も」
「千鶴とわたしは会社の研修で会って、そこから仲良くなって……そう思ってたのはわたしだけだった。最初から、わたしが大和のいとこだと知ってて近づいたということを警察の人に教えられたの。千鶴は、わたしが彼女のことを大和に紹介するのを……6年間も待ち続けてたって……」
飯島さんは泣きながらわたしに頭を下げた。
「千鶴は大和と合コンで初めて顔を合わせたはずだったから、あの時『青葉』って名乗った大和が本当は『杠葉』って知らないはずなのに、わたしは気がつかなかったの。『鴎外さん、杠葉さんとまだ続いてるのね』って言われる度に、2人は仲がいいって話をいっぱいしてしまった……それで千鶴が環ちゃんを恨んでたなんて……」
あの男の言っていた「ちーちゃん」が「千鶴」で、初めて大和さんと会った合コンに来てた人……
あの時、大和さんが自分のことを「青葉」と言った時、「青葉?」と聞き返した女がいたのは印象に残ってる。
わたしも自分が勤める店舗の名前と同じだったから反応してしまった。
あの女のこと?
大和さんの名前が「杠葉大和」だと知っていたから、偽名を使ったことに反応したんだ。
でも、わたしは顔すら覚えていない……
「飯島さんのせいじゃありません! 飯島さんだって騙されてたんじゃないですか」
「環ちゃん……」
「泣かないでください。顔はちょっと微妙ですけど、こんなのすぐに治ります。わたしは元気ですよ!」
「怖い思いをさせてごめんね。わたしのせいでごめんね。怪我までさせてしまって……」
「絶対に飯島さんのせいじゃありません。悪いのは人の優しさを利用したあの女の方です」
「違う……わたしのせい……」
飯島さんが自分を責めて泣いている姿を見るのが辛い。
わたしは飯島さんのせいだなんてこれっぽちも思わない。
それに、大和さんとのことでわたしも、飯島さんを騙してる。
ごめんなさい……
飯島さんは何も悪くない。



