星降る夜の寓話

痛み止めを処方された。

でもこのくらいなら慣れてるし、きっと飲まないんだろうなぁ、と思いながら律の待っている所へ戻ると、持っていた処方箋を奪われた。
そしてそのまま病院のすぐ隣にある調剤薬局に連れて行かれた。

「薬飲めよ。絶対飲めよ」
「飲むよ」
「見ておくからな」
「飲むってば」

薬をもらう順番を待っている間は、そんな会話ばかりだった。


病院の駐車場に停めていた車に乗ったところで律が言った。

「今日はいろいろありすぎたから、マンションへは戻らない方がいい。荒らされてぐちゃぐちゃになってるし。ホテルに部屋をとったから」
「何も持ってない……」
「あーそっか。男とは違うよな。コンビニで揃いそう?」
「うん」


わたしがコンビニで買い物をしている間、律は外でずっと電話をしていた。
きっと仕事をそっちのけでわたしに付き合ってるせいだ。

レジでお金を払う時、店員さんがわたしの顔を見て、ちょっと驚いた表情を見せた。
そして、わたしがチラチラと外を気にしていることに気がついて、小さな声で言った。

「大丈夫ですか? 何かできることがありますか?」
「え?」
「警察を呼んだ方が良かったら……」
「大丈夫です。外にいるのが警察の人で、わたしを……助けてくれた人だから」
「すみません、余計なことを」
「いえ、ありがとうございます」


コンビニから出てきたわたしを見て、律が不思議そうな顔をした。

「何かあった?」
「どうして?」
「何ていうか……泣きそうな顔してるんだけど、辛そうなわけじゃない」
「知らない人がわたしのことを心配してくれた」
「ふうん」

車に乗ろうとしたところで、律が言った。

「そういうの、自分が気が付かないだけで、周りを見渡したらもっとあるかもな」