星降る夜の寓話

レシピを検索して、使う調味料からなんとなく味を想像したけれど、食べたことがないから正解がわからない。

スーパーで必要な材料を選びながら、自分がどんなにものを知らないか苦笑した。


小学校までは、多分普通の食卓を囲っていたと思う。
お母さんの作るハンバーグや唐揚げが好きだった。

お父さんが借金をするようになってからは、いつも同じようなものばかり食べてて、誕生日やクリスマスにも特に何かあるわけではなかった。

テレビで見て名前を知っていても、食べたことのないものが多い。

わたしの「初めて食べる」という感想が面白いのか、大和さんはいつもわたしが食べたことがないものを食べに連れて行ってくれる。
ストーカー探しにちっとも役立てていないのに。


スマホをキッチンにおいて、動画を見ながら、その通りに作った。
味見をして、多分こんな感じであってるんじゃないかと思った。

後は、律が帰って来た時に温め直せばいい。

お皿も用意しておいた。


食器類を買う時は、全て3客分にしている。
2客しか使うことはないけれど、わたしがいなくなってしまった後、2客だと律がわたしのことを思い出してしまうかもしれないから。

形に残るものはない方がいい。