星降る夜の寓話

「じーさんたちに辞めてもらう時に使えないやつらも切っちゃえなかったの?」
「あいつらには年齢と作業効率を理由に退職してもらったけれど、若い人間はそう簡単にいかない」
「でも、納期1週間も間違えてて、客の方から指摘されるまで気づかないとかありえない。7時までは待ってもらえることになったからショップは臨時休業してなんとかしろって」
「『縁故は1家族に1人まで』を徹底させるよう努力する」
「早くしてよね。吉野のやつ、父親も使えなかったけど、息子はもっと使えない」

飯島さんと大和さんのやりとりをわたしが聞いてしまってていいのか、なるべく聞かないように黙々と作業をすすめた。


何段にも重ねられた番重と一緒に、工場を手伝いに行っていた路野さんが戻って来たので、作業スピードがあがった。



6時前になんとか作業が終了して、ほっと一息ついたけれど、今度はこれを納品に向かわないといけない。

「大和、持ってって」
「最初からそのつもりで家の車で来いって言ったんだろ?」
「でも、その服装は予想外だった。ジーンズにパーカーで謝罪というわけにはいかないよね」

そこで飯島さんはわたしを見た。

「環ちゃん、ごめんけど、こいつと一緒に行って、お客さんに謝罪してきてもらえない? 電話で話した時の様子だと、怒られたりはないと思う」
「お客様に会うならわたしより飯島さんの方が適任なんじゃないですか?」
「それが、これから全店のオンラインミーティングが入ってて、ショップの責任者は絶対参加するように言われてるの。お願い」
「わかりました。それなら行きます」