星降る夜の寓話

1泊2日の「温泉旅行」から帰って、マンションのエントランスに入ると、すぐに集合ポストをのぞいた。

水回り修理のチラシを兼ねたマグネット、お葬式場のパンフレット、不用品回収のチラシ。
広告のチラシ以外ポストには入っていなかった。


脅迫状はそんなにすぐ送られてくるわけではないのかな?
大和さんはすぐにでも送られてくるみたいに言ってたけど……



部屋に入ると、律が帰って来る前に荷物を全てクローゼットの奥へしまい込んだ。

登山靴はブラッシングして、固く絞ったふきん等で表面を拭いて汚れを落とした。
靴底を見ると、石は詰まっていなかったので水洗いだけして、ベランダの隅っこに置いた。

洗濯を済ませて、それらもベランダに干した。

こういう時、律がファッションに疎いのは助かる。
見られても、それらが登山用のものだとは気付かれない。


全部片づけてから、自分のために熱いカフェオレを淹れた。


今日は、特別な日だった。

ずっと探していた場所をついに見つけた。

あとは何回か通って、誰も来ないことを確認するだけ。


大和さんのストーカーが見つかったら、その報酬と貯金を合わせて、律に借りているお金を全額返すことが出来る。

もう少しで、全部終わりにできる。



GPSの痕跡を残さないために、ずっとOFFにしていたスマホの電源を入れると、大和さんから着信が入っていた。